[優秀P一般-05] COVID-19感染症重症患者に抜歯を含めた口腔管理を行なった症例
【症例報告】
COVID-19感染症重症患者に抜歯を含めた口腔管理を行なった症例
○ 岡田 光純, 久保田 一政, 渡辺 昌崇, 柳原 有依子, 深瀬 円香, 山賀 栄次郎,
水口 俊介
東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 高齢者歯科学分野
【目的】
COVID-19感染症は現在, 抗ウイルス薬の投与の他に呼吸器の重症度によって, 酸素投与・気管挿管・気管切開・ECMOの導入などの処置がなされる。 今回、COVID-19感染症重症患者に, 抜歯処置と口腔管理を行った症例を報告する。
【症例の概要と処置】
75歳, 男性。心房細動の既往。COVID-19PCR陽性, 呼吸苦を認め当院に救急搬送された。入院時, リザーバーマスクで酸素投与するも酸素化不良であり経口挿管を施行した。 同日にレムデシビルとステロイドの投与を開始した。 上顎左側中切歯と上顎左側第一大臼歯に動揺を認め, 共に動揺著明で脱落のリスクがあり, 感染源にもなり得えたため早期の抜歯が必要と判断した。しかし, 深部静脈血栓症予防としてヘパリンが投与されており, 抜歯後出血や血液による誤嚥リスクが高かったため, ヘパリンの持続投与を一時中断した後に抜歯を行なった。また, 残存歯の損傷に配慮した挿管チューブの固定位置を指導した。入院9日後気管切開, 14日後にECMOが導入され, 41日後にECMOから離脱した.
【結果と考察】
COVID-19感染症患者では背側優位に肺機能が失われることが多く, 腹臥位で管理し酸素化を維持する場合がある。また, 人工呼吸管理が長期化すると人工呼吸器関連細菌性肺炎が生じるリスクが上昇する。COVID-19感染症重症患者では腹臥位での挿管管理を行うことが多くなり口腔内へのアクセス, 直視は困難となる。また, COVID-19感染症患者にはサイトカイン・ストームに対してステロイドが投与されるため、口腔の局所免疫低下によりCandida albicansなどの増殖・感染が生じてくる可能性がある。さらにサイトカイン・ストームは血栓形成を促進するために抗凝固療法が投与される場合があり, 抜歯や口腔ケアを慎重に施行する必要がある。以上によりCOVID-19感染症肺炎での肺機能低下による集中治療管理中に、細菌性肺炎を合併しそのコントロールが必要となってくるため, 口腔評価と管理が非常に重要となる。
(COIなし, 倫理番号:東京医科歯科大学D2017-20)
COVID-19感染症重症患者に抜歯を含めた口腔管理を行なった症例
○ 岡田 光純, 久保田 一政, 渡辺 昌崇, 柳原 有依子, 深瀬 円香, 山賀 栄次郎,
水口 俊介
東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 高齢者歯科学分野
【目的】
COVID-19感染症は現在, 抗ウイルス薬の投与の他に呼吸器の重症度によって, 酸素投与・気管挿管・気管切開・ECMOの導入などの処置がなされる。 今回、COVID-19感染症重症患者に, 抜歯処置と口腔管理を行った症例を報告する。
【症例の概要と処置】
75歳, 男性。心房細動の既往。COVID-19PCR陽性, 呼吸苦を認め当院に救急搬送された。入院時, リザーバーマスクで酸素投与するも酸素化不良であり経口挿管を施行した。 同日にレムデシビルとステロイドの投与を開始した。 上顎左側中切歯と上顎左側第一大臼歯に動揺を認め, 共に動揺著明で脱落のリスクがあり, 感染源にもなり得えたため早期の抜歯が必要と判断した。しかし, 深部静脈血栓症予防としてヘパリンが投与されており, 抜歯後出血や血液による誤嚥リスクが高かったため, ヘパリンの持続投与を一時中断した後に抜歯を行なった。また, 残存歯の損傷に配慮した挿管チューブの固定位置を指導した。入院9日後気管切開, 14日後にECMOが導入され, 41日後にECMOから離脱した.
【結果と考察】
COVID-19感染症患者では背側優位に肺機能が失われることが多く, 腹臥位で管理し酸素化を維持する場合がある。また, 人工呼吸管理が長期化すると人工呼吸器関連細菌性肺炎が生じるリスクが上昇する。COVID-19感染症重症患者では腹臥位での挿管管理を行うことが多くなり口腔内へのアクセス, 直視は困難となる。また, COVID-19感染症患者にはサイトカイン・ストームに対してステロイドが投与されるため、口腔の局所免疫低下によりCandida albicansなどの増殖・感染が生じてくる可能性がある。さらにサイトカイン・ストームは血栓形成を促進するために抗凝固療法が投与される場合があり, 抜歯や口腔ケアを慎重に施行する必要がある。以上によりCOVID-19感染症肺炎での肺機能低下による集中治療管理中に、細菌性肺炎を合併しそのコントロールが必要となってくるため, 口腔評価と管理が非常に重要となる。
(COIなし, 倫理番号:東京医科歯科大学D2017-20)