一般社団法人日本老年歯科医学会 第32回学術大会

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一般演題(口演)

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一般口演3
加齢変化・基礎研究、全身管理・全身疾患、実態調査

2021年6月13日(日) 09:50 〜 10:50 Line B (ライブ配信)

座長:貴島 真佐子(わかくさ竜間リハビリテーション病院)、片倉 朗(東京歯科大学 口腔病態外科学講座)

[O3-1] 「水を使わない口腔ケアシステム」を導入して薬剤における費用対効果を検証する

○梶原 美恵子1 (1. 北九州古賀病院)

【目的】2019年に行った先行研究(承認番号:北九州総合病院倫理委員会承認番号第令和元年-29号)では,口腔ケア用ジェルと吸引嘴管(への字型No.6長型,第一医科株式会社)を使用し,遊離させた汚染物を絡め取り口腔外へ排除する手法「水を使わない口腔ケアシステム」(以下,ケアシステム)を病棟に導入し,臨床においてのケアシステム効果を肺炎による発熱日数の変化により検証した。非経口摂取患者において,ケアシステム実施6ヵ月(以下,介入群)と,他の保湿剤を使用し,12Fr吸引カテーテル(株式会社トップ)を用いて適宜吸引をする従来のケアを実施した前年同月の6ヶ月(以下,対照群)の発熱日数を比較した。結果,対照群より介入群のほうが肺炎発熱日数は54日減少を認めた(75.9%減)。今回,この結果から使用薬剤における費用対効果について報告する。

【方法】障害者病棟入院中の非経口摂取の18名(男性5名、女性13名)平均年齢68.4±13.2歳を対象とした。2018年10月から2019年3月までの6か月を対照群,2019年10月から2020年3月までの6か月を介入群とした。日本呼吸器学会ガイドラインを参照として,肺炎または疑いのある37.5度以上であった日数は対照群224日,介入群170日であることから薬剤数量と薬価から金額を計算した。ケアシステム実施に係る用具には吸引嘴管30本を購入した。基本情報として性別,年齢,Body Mass Index(以後,BMI),血清アルブミン値(以後,Alb値),主たる疾患はカルテより抽出した。

【結果と考察】6か月間の対照群と介入群の薬剤の使用合計金額は対照群645,718円,介入群164,477円であり,結果481,240円減少となった。よって介入群において費用対効果が高いことを示した。薬剤使用費用が大きく減少したことは,連続発熱や38度以上の高熱日数が減少したことが薬剤使用量に影響があると考えられるが今後の調査により明らかにしたい。ケアシステムを導入した口腔衛生管理には作用機序があると考える。
COI開示:なし