[SSY-4] 管理栄養士の立場から:超高齢社会における歯科と栄養の連携
【略歴】
2006年 管理栄養士取得
2011年 東京農業大学大学院博士課程(食品栄養学)修了博士号取得
職歴
大学院修了後、急性期病院勤務を経て在宅栄養管理を行う。
2015年より東京都健康長寿医療センター研究所非常勤研究員
2017年より東京都健康長寿医療センター研究所常勤(現在に至る)
その他
日本静脈経腸栄養学会NUTRI YOUNG INVESTIGATOR AWARD受賞、老人保健健康増進等事業 主任研究者、厚生労働科学研究費 研究代表者、日本老年歯科医学会 多職種連携委員会委員、東京都栄養士会医療事業部幹事
2006年 管理栄養士取得
2011年 東京農業大学大学院博士課程(食品栄養学)修了博士号取得
職歴
大学院修了後、急性期病院勤務を経て在宅栄養管理を行う。
2015年より東京都健康長寿医療センター研究所非常勤研究員
2017年より東京都健康長寿医療センター研究所常勤(現在に至る)
その他
日本静脈経腸栄養学会NUTRI YOUNG INVESTIGATOR AWARD受賞、老人保健健康増進等事業 主任研究者、厚生労働科学研究費 研究代表者、日本老年歯科医学会 多職種連携委員会委員、東京都栄養士会医療事業部幹事
高齢者人口の増加とともに要介護高齢者の増加が予想され、これまでのメタボ対策のみならず、フレイル対策を軸とするパラダイムシフトが起こっている。Friedらにより提唱されたFrailty Cycleでは、サルコペニアを含む、筋力低下、疲労、消費エネルギー量の低下といった悪循環に陥るモデルが示され、その中で栄養は、食欲の低下、体重減少、低栄養といった要因が加速因子となっており、食事に関しても「多様な食品をバランスよく」「しっかりと食べる」ことへ関心が向けられるようになった。我々の研究においても、地域在住高齢者を対象に肉、魚介類、卵、大豆・大豆製品、牛乳、緑黄色野菜類、海藻類、いも類、果物、油脂類の10食品をそれぞれ「毎日食べる」を1点、それ以外を0点とした10点満点の食品摂取の多様性スコアとフレイルとの関連を検討したところ、フレイル、プレフレイルに比較して健康なグループで有意に高値を示し、関連があることを報告している。また他の研究でも食品摂取の多様性の合計が6点以上のグループは5点以下と比較して筋量、筋力が有意に高い値を示すとの報告がある。様々な食品の摂取が、たんぱく質をはじめ抗酸化物質等といったビタミンやミネラルの十分な摂取につながり、フレイル対策に貢献する可能性がある。
その食品摂取を支えるのは入口である口腔機能である。歯牙欠損がたんぱく質、カルシウム、ビタミン類、野菜類、肉類の摂取低下につながることや、歯の喪失が進むことで野菜類などの噛みにくい食品を避け、デンプン類が豊富な食品を好むようになることが報告されている。また咀嚼機能が不良の者は栄養素等摂取量が低値を示し、さらに低栄養と関連することが報告されている。これらの報告からも高齢期における適切な栄養ケアは、口腔機能や義歯の状況等を把握したうえで食事摂取の状況を観察・確認して行う必要があり、歯科と栄養の連携は必須であると考える。最近では栄養指導と口腔機能向上や補綴を組み合わせた介入研究も散見されるようになり、歯科と栄養の連携を行うことで、高齢期の健康維持や健康寿命延伸に単独では得られないシナジー効果が存在する可能性が示されている。最近では平成29年に作成された配食事業者向けガイドラインにおいても義歯等の状況について把握することの必要性が明記され、また令和3年度の介護報酬改定においても口腔・栄養スクリーニング加算の新設がされる等、歯科と栄養の連携について実装や下地作りが少しずつ進んでいる。
今後「食べることの維持」という支援は様々なステージで求められ、歯科と栄養の連携を推進していくことが重要となる。本シンポジウムでは高齢期における歯科と栄養連携が、研究や現場での活動を通じてより強固なものとなるよう、皆様と検討していきたい。
その食品摂取を支えるのは入口である口腔機能である。歯牙欠損がたんぱく質、カルシウム、ビタミン類、野菜類、肉類の摂取低下につながることや、歯の喪失が進むことで野菜類などの噛みにくい食品を避け、デンプン類が豊富な食品を好むようになることが報告されている。また咀嚼機能が不良の者は栄養素等摂取量が低値を示し、さらに低栄養と関連することが報告されている。これらの報告からも高齢期における適切な栄養ケアは、口腔機能や義歯の状況等を把握したうえで食事摂取の状況を観察・確認して行う必要があり、歯科と栄養の連携は必須であると考える。最近では栄養指導と口腔機能向上や補綴を組み合わせた介入研究も散見されるようになり、歯科と栄養の連携を行うことで、高齢期の健康維持や健康寿命延伸に単独では得られないシナジー効果が存在する可能性が示されている。最近では平成29年に作成された配食事業者向けガイドラインにおいても義歯等の状況について把握することの必要性が明記され、また令和3年度の介護報酬改定においても口腔・栄養スクリーニング加算の新設がされる等、歯科と栄養の連携について実装や下地作りが少しずつ進んでいる。
今後「食べることの維持」という支援は様々なステージで求められ、歯科と栄養の連携を推進していくことが重要となる。本シンポジウムでは高齢期における歯科と栄養連携が、研究や現場での活動を通じてより強固なものとなるよう、皆様と検討していきたい。