一般社団法人日本老年歯科医学会 第33回学術大会

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地域歯科医療部門

2022年6月11日(土) 15:00 〜 16:00 優秀ポスター:地域歯科医療部門 (りゅーとぴあ 2F コンサートホールホワイエ)

[優秀P地域-05] リハビリテーション病院と地域歯科診療所との連携システム構築と実態

○野本 亜希子1,2、才川 隆弘3、橋詰 桃代4、波多野 真智子4、大野 友久1,2 (1. 浜松市リハビリテーション病院 歯科、2. 東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 医歯学専攻 老化制御学講座  摂食嚥下リハビリテーション学分野、3. 浜松市歯科医師会、4. 浜松市リハビリテーション病院 リハビリテーション部)

【目的】
入院高齢者は疾患や障害のために退院後も歯科治療に何らかの配慮が必要な場合が多い。リハビリテーション病院入院患者は数ヶ月の入院期間があるため、入院中に歯科治療を含めた十分な口腔管理が可能である。さらに、 退院時には歯科治療時の注意点などを情報提供しながら適切に地域へと繋げることができれば患者にとって有益であると考えられる。浜松市リハビリテーション病院歯科(以下、当科)では、当科受診患者の中で、かかりつけ歯科がないが退院後に地域歯科診療所通院を希望した場合に、浜松市歯科医師会に紹介先選定を依頼する要配慮者歯科医療連携システム(以下、連携システム)を構築している。今回、連携システムの実態を調査した。
【方法】
2020年10月からの1年間で当科から退院時に診療情報を提供した患者の年齢、性別、原疾患、入院時Functional Independence Measure (FIM)、Food intake LEVEL scale (FILS)、歯科治療内容、最終歯科受診歴と紹介先の種類について調査した。また、2018年1月からこれまでに連携システムを通じて紹介した患者の受診時主訴と紹介目的を後方視的に調査した。
(浜松市リハビリテーション病院倫理審査承認番号21-75)
【結果と考察】
当科初診患者は574名(74.6±14.0歳、男性45.1%)であった。同時期の退院時に歯科から診療情報提供書を作成した患者数は210名(74.7±13.9歳、男性55.7%)であり、脳卒中が59.6%、入院時FIM 72[44-94]、FILS8[7-10]であった。34.3%の患者が義歯治療を受け、7.1%の患者が10年以上歯科受診していないと答えた。紹介先は地域歯科診療所が136人であった。これまでに連携システムで紹介したのは47人(通院32人、歯科訪問診療15人)であり、当科での治療内容は義歯が16人、口腔衛生管理が15人であった。退院時には74.5%の患者を今後の定期的な口腔管理目的で紹介し、23.4%が歯科治療の継続で紹介していた。これらから多くの患者で入院時には義歯などの治療を要する状態であったが、退院時には治療がひと段落し紹介できていたと考えられた。今後は退院後の追跡調査などを行い、より良い連携システムを模索していきたい。本調査は要配慮者歯科医療連携体制構築事業補助金にて実施した。COI開示:なし