一般社団法人日本老年歯科医学会 第33回学術大会

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優秀ポスターコンペティション

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一般部門

2022年6月11日(土) 15:00 〜 16:00 優秀ポスター:一般部門 (りゅーとぴあ 2F コンサートホールホワイエ)

[優秀P一般-01] 介護老人福祉施設入所者の肺炎発症にOral Assessment Guideは説明変数になりうるか。

○山口 摂崇1、村松 真澄2、山中 大寛1、武田 佳大1、越智 守生1 (1. 北海道医療大学歯学部口腔機能修復・再建学系 クラウンブリッジ・インプラント補綴学分野、2. 札幌市立大学 看護学部)

【目的】
 北海道内の介護老人福祉施設入所者において,ベースライン時のOral Assessment Guide(OAG)の合計得点と一年後の肺炎発症の関連を検討した.
【方法】
 本研究は1年間の前向きコホート研究である.北海道内の介護老人福祉施設のうち本研究への参加協力を得られた9施設で実施した(調査期間:平成30年7月~令和2年2月).除外基準はベースライン調査後1年間に歯科治療介入があった者とした.従属変数をベースライン調査1年経過後の肺炎発症,説明変数をOAGの合計得点,調整変数を年齢,性別,内服薬数,既往歴の有無(脳血管疾患,循環器疾患,糖尿病),専門的口腔ケアの有無とした.Model1はロジスティック単回帰分析,Model2はModel1に年齢,性別を投入,Model3はModel2に内服薬数,既往歴の有無,専門的口腔ケアの有無を投入した多重ロジスティックス回帰分析を実施し,オッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)で評価した.統計解析にはSPSS Ver24を使用した.
【結果と考察】
 ベースライン調査対象者数は267名,1年経過後のドロップアウト者数は72名(ドロップアウト率27.0%)であった.除外基準該当者11名を除き,解析対象者は184名(男性31名,平均年齢85.0±8.3歳, 女性153名,平均年齢87.9±6.1歳)とした.解析対象者のうち,肺炎を発症したのは8名(男性6名,女性2名)であった.OAGの合計得点はModel1でOR:1.56,95%CI:1.16-2.11, p < 0.01,Model2でOR:1.57,95%CI:1.11-2.22, p<0.05,Model3でOR:2.29,95%CI:1.27-4.14, p < 0.01であった.この結果から,高齢者の肺炎のリスク因子である調整変数で調整後であっても,OAGの合計得点が1点上がるごとに肺炎発症のORが2.29倍になることが示唆された.よって,介護老人福祉施設入所者においてOAGの合計得点は,1年後の肺炎発症をスクリニーングできる説明変数になりうると考えられる.
北海道医療大学 倫理審査委員会 承認番号 第178号
(COI開示:なし)