[O1-03] 歯科診療所通院患者における「口腔機能低下症」と「食事」についての実態調査(第2報)
【目的】
歯科診療所通院患者における口腔機能低下症の実態(有病率、エネルギー・栄養素摂取量、生活・健康状態)を明らかにすることを目的とした。
【方法】
歯科診療所に通院している65歳以上の患者のうち、研究の趣旨に同意が得られた128名(男性45名、女性83名、年齢77.9±6.0歳)を対象とした。調査項目は、口腔機能低下症の診断項目7種(口腔衛生状態、口腔湿潤度、咬合力、舌口唇運動機能、舌圧、咀嚼機能、嚥下機能)、簡易型自記式食事歴法質問票(以下BDHQ)を用いた栄養食事調査、基本チェックリスト(以下KCL)を用いた生活や心身の健康状態に関する調査である。なお、 本研究は、日本老年歯科医学会第31回学術大会で第1報を報告した。その後、別の歯科診療所において、 28名の被検者が得られたため、その成績を合わせて報告する。
【結果と考察】
128名の患者のうち、口腔機能低下症に該当する者(該当群)は73名(57%)、該当しない者(非該当群)は55名(43%)であった。また、口腔機能低下症診断のためのカットオフ値前後(2・3項目該当)の割合を比較したところ、高齢者施設利用者では31%であったのに対し、本研究対象者では54%と高い割合であった。つまり、 歯科診療所通院患者では、口腔機能の低下度合いの軽い者が多く存在するため、早期介入による予防・改善効果を得やすい可能性が考えられる。BDHQを用いた栄養食事調査の結果、1000kcalあたりの調味料・香辛料類は、 非該当群に比べ該当群で有意に高値を示した(p<0.05)。また、口腔機能低下症と外出頻度との関連を検討した結果、非該当群に比べ該当群では、KCL No.17「昨年と比べて外出の回数が減っている」という質問に対し「はい」と回答した者の割合が有意に高かった(p<0.05)。さらに、KCL No.17「昨年と比べて外出の回数が減っている」という質問に対し「はい」と回答した者は「いいえ」と回答した者に比べ、果実類、肉類の摂取量が有意に低値であった(p<0.05)。今回の研究結果より、歯科診療所通院患者において、『口腔機能低下症』、 『食』、『外出頻度』の3つが相互に関係していることが示唆された。
(COI開示:なし)
(大阪樟蔭女子大学研究倫理委員会承認番号 19-06)
歯科診療所通院患者における口腔機能低下症の実態(有病率、エネルギー・栄養素摂取量、生活・健康状態)を明らかにすることを目的とした。
【方法】
歯科診療所に通院している65歳以上の患者のうち、研究の趣旨に同意が得られた128名(男性45名、女性83名、年齢77.9±6.0歳)を対象とした。調査項目は、口腔機能低下症の診断項目7種(口腔衛生状態、口腔湿潤度、咬合力、舌口唇運動機能、舌圧、咀嚼機能、嚥下機能)、簡易型自記式食事歴法質問票(以下BDHQ)を用いた栄養食事調査、基本チェックリスト(以下KCL)を用いた生活や心身の健康状態に関する調査である。なお、 本研究は、日本老年歯科医学会第31回学術大会で第1報を報告した。その後、別の歯科診療所において、 28名の被検者が得られたため、その成績を合わせて報告する。
【結果と考察】
128名の患者のうち、口腔機能低下症に該当する者(該当群)は73名(57%)、該当しない者(非該当群)は55名(43%)であった。また、口腔機能低下症診断のためのカットオフ値前後(2・3項目該当)の割合を比較したところ、高齢者施設利用者では31%であったのに対し、本研究対象者では54%と高い割合であった。つまり、 歯科診療所通院患者では、口腔機能の低下度合いの軽い者が多く存在するため、早期介入による予防・改善効果を得やすい可能性が考えられる。BDHQを用いた栄養食事調査の結果、1000kcalあたりの調味料・香辛料類は、 非該当群に比べ該当群で有意に高値を示した(p<0.05)。また、口腔機能低下症と外出頻度との関連を検討した結果、非該当群に比べ該当群では、KCL No.17「昨年と比べて外出の回数が減っている」という質問に対し「はい」と回答した者の割合が有意に高かった(p<0.05)。さらに、KCL No.17「昨年と比べて外出の回数が減っている」という質問に対し「はい」と回答した者は「いいえ」と回答した者に比べ、果実類、肉類の摂取量が有意に低値であった(p<0.05)。今回の研究結果より、歯科診療所通院患者において、『口腔機能低下症』、 『食』、『外出頻度』の3つが相互に関係していることが示唆された。
(COI開示:なし)
(大阪樟蔭女子大学研究倫理委員会承認番号 19-06)