一般社団法人日本老年歯科医学会 第34回学術大会

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優秀ポスター賞コンペティション
一般部門

2023年6月16日(金) 17:00 〜 18:00 ポスター会場 (1階 G3)

[優秀P一般-4] 要支援・要介護高齢者の低栄養と口腔機能低下との関連
―GLIM criteriaを用いて―

○末永 智美1,2、會田 英紀3、山田 律子4、吉野 夕香5、金本 路1、植木 沢美1、川上 智史6 (1. 北海道医療大学在宅歯科診療所、2. 北海道医療大学病院 歯科衛生部、3. 北海道医療大学歯学部高齢者・有病者歯科学分野、4. 北海道医療大学看護福祉学部地域保健看護学講座、5. 北海道医療大学病院 医療相談・地域連携室、6. 北海道医療大学歯学部高度先進保存学分野)

【目的】
 要支援・要介護高齢者の低栄養と口腔機能との関連は徐々に明らかになってきているが,国際的な低栄養の診断基準GLIM criteriaを用いた報告はまだ少ない。本研究では,要支援・要介護高齢者の低栄養をGLIM criteriaで診断した上で,口腔機能との関連について明らかにすることを目的とした。
【方法】
 対象者は、同意が得られた要支援・要介護高齢者103名とした。調査項目は,基本属性,Clinical Dementia Rating(CDR),Functional Independence Measure(FIM),Vitality Index(VI),口腔機能低下症の検査7項目,リンシングの可否とした。分析方法は,対象者をGLIM criteriaで低栄養群47名と良好群56名に分別し,各項目との関連はt検定,カイ二乗検定,マンホイットニーU検定を用いた。
【結果と考察】
 対象者の年齢の平均値±SDは,低栄養群85.2±7.0歳,良好群85.3±6.7歳と両群ともに高齢で有意差はなかった。性別は男性が低栄養群25.5%,良好群8.9%(p=.033),CDRは中等度以上が低栄養群61.7%,良好群33.9%(p=.006)と各々有意差を認めた。FIMとVIの平均値±SDは,低栄養群が57.0±37.8点と5.5±3.6点で,良好群の87.7±33.8点と8.2±2.3点に対して有意に低かった(p<.001)。
 低栄養と口腔機能との関連では,リンシングの可否(p<.001),舌口唇運動機能(ka)(p<.033),嚥下機能(p<.001)と有意差を認めた。なお,両群ともに口腔機能低下症の検査7項目のうち嚥下機能を除く6項目で機能が低下していた。
 今回,両群ともに85歳以上と高齢で,低栄養の有無に関わらず嚥下機能以外の口腔機能が低下していた。加えて,低栄養群の特徴ではCDRが中等度以上の男性が多く,日常生活動作は何らかの介助を要し,自発的な活動が低い状態であった。特に低栄養群の口腔機能は,口腔の協調運動や食物の送り込み,嚥下機能の低下が示されたことから,今後はGLIM criteriaで低栄養と診断された要支援・要介護高齢者に対して,口腔機能低下も併せて評価していく必要がある。 (COI開示:なし) (北海道医療大学予防医療科学センター倫理委員会承認番号 第2018-005号)