一般社団法人日本老年歯科医学会 第34回学術大会

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一般演題(口演発表)

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一般口演4
その他

2023年6月17日(土) 16:05 〜 16:35 第3会場 (3階 G304)

座長:
山崎 裕(北海道大学大学院歯学研究院口腔健康科学分野 高齢者歯科学教室)
高橋 一也(大阪歯科大学高齢者歯科学講座)

[O4-3] アプリ版Voice Retriever使用前後のV-RQOLの変化と使用感に関する症例報告

○堀家 彩音1、中根 綾子1、山田 大志1、山口 浩平1、吉見 佳那子1、中川 量晴1、戸原 玄1 (1. 東京医科歯科大学 摂食嚥下リハビリテーション学分野)

【緒言・目的】
喉頭全摘出術等により発声機能を失った後の代用発声方法として大きく分けて電気式人工喉頭,食道発声法,食道気管瘻の3種類存在する。今回代用発声方法を訓練している3名の喉頭全摘出術後患者に対して,我々が開発した口腔内に原音を発する口腔内装置型代用発声装置であるVoice Retrieverのスマートフォンのアプリ版について使用前後でのV-RQOLの変化および使用感に関して報告する。
【症例および経過】
1.49歳男性。2020年12月に食道平滑筋肉腫にて喉頭全摘出術,空腸移植術を受けた。2021年より食道発声を行っているが上達が困難であった。Voice Retriever使用前のV-RQOLが55から使用後は85へと改善した。また周囲から発音が聞き取りやすいと評価を受けていた。
2.78歳男性。2005年11月に下咽頭癌にて喉頭全摘出術,空腸移植術を受けた。2006年より食道発声を行っており食道発声の訓練士をしている。Voice Retriever使用前のV-RQOLが75から使用後は45へと低下した。マウスピース装着時に口腔内の違和感があり,他の代用発声方法を既に確立しているためにVoice Retrieverを練習する必要性を感じなかった。
3.78歳男性。2012年に下咽頭癌にて喉頭全摘出術,空腸移植術を受けた。2013年より電気式人工喉頭を使用されており電気式人工喉頭の訓練士をしている。Voice Retriever使用前のV-RQOLが85から使用後は90へと改善した。黒いコードが口腔外に出ることによる審美的な問題が課題であると感じていた。
なお,本報告に際し患者本人に書面での同意を得た。
【考察】  
使用前後でのV-RQOLの変化を検証したところ,臨床的に有意な変化を示す値を決定するにはより多くの人を用いた研究が必要となるが,代用発声方法が確立していない方がV-RQOLの改善程度が大きく,使用頻度も増えることが示唆された。代用発声方法が確立している症例3においてもV-RQOLの改善を認めたが症例1の方がより改善していた。また課題としてはコードが口腔外に出ることによる審美的な問題やスマートフォンの操作方法の煩雑さがあげられる。今後代用発声方法として普及していく上でこれらの改良に努めていきたい。
(COI開示:なし)(東京医科歯科大学 倫理審査委員会承認番号 D2020-071)