一般社団法人日本老年歯科医学会 第35回学術大会

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認定医審査ポスター

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認定医審査ポスター

2024年6月28日(金) 14:40 〜 16:10 ポスター会場 (大ホールC)

[認定P-22] 沖縄そば摂取時に誤嚥し、誤嚥性肺炎を認めた症例

○井手 健太郎1、長谷 剛志1,2 (1. 琉球大学病院 歯科口腔外科、2. 公立能登総合病院 歯科口腔外科)

【緒言・目的】
 固形物と液体物が混ざった食事は、摂食嚥下機能が低下した患者において、誤嚥し易いことが知られている。今回、大晦日のため食上げされ提供された沖縄そばを誤嚥し、誤嚥性肺炎を発症した患者を報告する。
【症例および経過】
 80歳、男性。大動脈弁閉鎖不全症の既往がある。右足部カポジ肉腫に対し、2022年12月放射線治療を行い、化膿性脊椎炎、脊椎損傷に対し、同月胸椎後方除圧固定術を施行しており、術後の安静のため入院管理を行っていた。食事は軟飯を摂取していたが、大晦日ということで、沖縄そば(きざみ)に食上げし摂取時にSPO2:80%まで低下、意識レベルの低下や呼吸苦は認められなかったが、貯痰音が著名であり、吸引により沖縄そばを吸引した。その後、酸素1LでSPO2:90%以上維持できたが、息苦しさを訴え、胸部X線検査にて右肺に肺炎を疑う不透過像を認め、誤嚥性肺炎の疑いで2023年1月当科を紹介となった。残存歯は上顎右側643、下顎右側21、左側124であり、上顎右側6、下顎右側2、下顎左側1に動揺度2度を認め、上下顎ともに部分床義歯を使用していた。VE検査より、沖縄そば摂取時において麺咀嚼時に汁の咽頭早期流入認め、誤嚥も確認できたが、咳反射なし、SPO2:78%まで低下を認め、喉頭蓋谷部、咽頭部の知覚低下を認めた。食事形態を極刻みに食下げし、スルバシリン注6g/日を2週間投与し、誤嚥はなく、呼吸苦は改善し、胸部X線検査にて肺炎像も消失し、経過は良好である。
なお、本報告の発表について患者本人から文書による同意を得ている。
【考察】
 摂食嚥下機能が低下した患者に対し、固形物と液体物の混合である沖縄そばは誤嚥しやすい食品であるので、今後も注意が必要である。さらに、本症例では部分床義歯の鉤歯である上顎右側6と下顎右側2に動揺があったため、部分床義歯の安定が悪く、咀嚼能率が低下したことも誤嚥性肺炎の発症と関連していたと考えられた。
(COI 開示:なし)
(倫理審査対象外)