一般社団法人日本老年歯科医学会 第35回学術大会

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地域歯科医療部門

2024年6月29日(土) 13:10 〜 14:10 ポスター会場 (大ホールC)

[優秀P地域-02] 認知症高齢者の口腔機能管理体制
香川県西部の歯科医師会・後方支援病院と認知症疾患医療センターとの連携

○後藤 拓朗1、木村 年秀2、久保田 有香3、枝広 あや子4、平野 浩彦4 (1. 三豊総合病院、2. まんのう町立造田歯科診療所、3. アリーデンタルクリニック、4. 東京都健康長寿医療センター)

【目的】
 当県西部医療圏の認知症疾患医療センター(以下認知症センター)が設置されている病院には歯科の標榜はないが,回復期病棟入院中で歯科診療の必要な患者に対し,当院から歯科訪問診療,訪問歯科衛生指導を行っている。ただ,認知症外来患者については十分な連携はなされておらず,患者・家族が認知症主治医に相談しても歯科への理解が不十分で,かかりつけの歯科への受診を指導されるだけに留まっている。そこで精神科での歯科への理解を促すと共に,認知症主治医から歯科へ紹介しやすい環境を作る事を目的に当地域における認知症高齢者の口腔機能管理体制の構築を目指した。
【方法】
 認知症センターの担当2市の歯科医師会会長・担当者に加え,香川県歯科医師会の高齢者歯科保健担当理事,後方支援を担当する2院の計6名で連携体制を検討した。事前の認知症センターからの聞き取りから,外来・訪問診療の2通りのケースで対応を検討した。基本的な方針としてはかかりつけ歯科が対応し,かかりつけ歯科で対応できない症例については後方支援病院で対応することした。かかりつけの無い患者については各地区(合併前の市町単位)で主となって行う歯科医院を推薦してもらい対応することとした。2市歯科医師会へは各院所に郵送にて事業説明およびアンケート調査を行い,本事業参加の意思を確認した。アンケートの内容は,認知症対応力向上研修受講スタッフの有無,待ち時間の調整,スロープ,訪問歯科診療,かかりつけ又はかかりつけで無い認知症患者への重症度別の対応とした。
【結果と考察】
 46院所中35院所から返信があり,そのうち29院所から事業協力が得られた。事業への参加や対応可能な範囲をまとめたリストを作成し主治医へ渡すことにより,地域歯科医師会と連携し香川県西部の認知症患者の歯科受診がしやすくなる環境整備を行えた。
 これまで認知症患者を取り巻く歯科診療環境は決して整ってはおらず,順番を待てない事や迷惑をかけるかもしれないとのことから歯科受診が控えられてきた。今回認知症連携リストが作成されたことにより,歯科への理解が深まりよりスムーズな歯科受診へつなげる一助になったと思われる。今回システムの構築を行ったが,実際に運用を行ってみて随時修正を行っていくことが必要となってくると考えられた。
(COI 開示:なし)
(三豊総合病院臨床研究審査委員会承認番号 23-CR01-290)