一般社団法人日本老年歯科医学会 第35回学術大会

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地域歯科医療部門

2024年6月29日(土) 13:10 〜 14:10 ポスター会場 (大ホールC)

[優秀P地域-05] 含嗽訓練は口腔機能の向上に有効か?-訓練指導2年経過後の口腔機能評価-

○朝田 和夫1、遠藤 眞美2、呉 明憲1、朝田 真理1、竹川 ひとみ1、長野 雅一1、野本 たかと1 (1. あさだ歯科口腔クリニック、2. 日本大学松戸歯学部障害者歯科学講座)

【目的】
 口腔機能向上の訓練法として,歯みがき前の15秒間の含嗽訓練(以下,含嗽訓練)の有効性について報告した1)。そこで,今回は,2年経過後の効果を調査した。
【方法】
 対象は,2021年に3か月間にわたる含嗽訓練のランダム化比較試験を行った先行研究1)において,介入群として含嗽を水で行ったⅠ群(22人),泡ハミガキ(薬用ピュオーラHb®)で行ったⅡ群(23人)のうち,協力が得られた16人,19人とした。方法は,含嗽訓練指導2年後の口腔機能評価として最大舌圧(JMS舌圧測定器®)および口輪筋の引っ張り強さ(リットレメーター Madical®)を測定し,先行研究1)の訓練開始時,1,2,3か月後の結果と比較した。また,同時に,含嗽訓練の効果の実感などに関する質問紙調査を行った。
【結果と考察】
 現在も含嗽訓練を実施している者はI群25%,Ⅱ群16%であった。最大舌圧は両群とも訓練開始時に比較して高く,介入終了時の3か月後に対して2年後は低かった(p<0.01)。2年後の口輪筋の引っ張り強さは,Ⅰ群で訓練開始時,1,2,3か月後の全てに対して大きかった(p<0.01)が,Ⅱ群では訓練開始時,1,2か月後に比較して大きく(p<0.01),介入終了時の3か月後に対して小さかった(p<0.05)。両群とも,訓練の効果に関して全項目で20%以上の改善を自覚しており,歯みがき時の爽快感ではⅠ群13%,Ⅱ群42%と差を認めた(p<0.05)。
 3か月間の含嗽訓練終了から2年経過後においても最大舌圧や口輪筋引っ張り強さが訓練開始時に比較して向上を認められたことから本法は口腔機能向上訓練として有用であるといえる。しかし,最大舌圧,Ⅱ群の口輪筋引っ張り強さは介入終了時よりも低下していたことから,訓練の継続・定着によってより効果が見込めると推察された。現在,訓練の定着割合は高いとはいえず,今後は定着に向けた要因をさらに検討したい。
(COI開示:なし)
(老年歯科倫理 2020-3番,日本大学松戸歯学部倫理審査委員会 EC21-011)
(UMIN-CTR 臨床試験登録UMINUMIN000044996)
【文献】
1) 朝田 和夫,遠藤 眞美,呉 明憲,朝田 真理,竹川 ひとみ,長野雅一,野本 たかと:口腔機能向上訓練方法として歯磨き前の含嗽は有効か?‐効果的な含嗽方法の検討-,老年歯科医学,37:129,2022.(抄)