一般社団法人日本老年歯科医学会 第35回学術大会

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一般部門

2024年6月29日(土) 13:10 〜 14:10 ポスター会場 (大ホールC)

[優秀P一般-05] オーラルフレイルを有する高齢者への多因子介入が食品摂取の多様性に与える影響

○中村 純也1、内田 一彰2、村上 正治1、釘宮 嘉浩1、中野 有生1、佐藤 穂香1、松尾 浩一郎3、櫻井 孝2、荒井 秀典4 (1. 国立長寿医療研究センター 歯科口腔外科部、2. 国立長寿医療研究センター 予防科学研究部、3. 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 地域・福祉口腔機能管理学分野、4. 国立長寿医療研究センター)

【目的】
 オーラルフレイルは食品摂取の多様性の減少や低栄養の要因となる。しかし,オーラルフレイルを有する高齢者において,食品摂取の多様性を改善するための効果的な介入方法や対象については不明な点が多い。そこで本研究では,オーラルフレイルを有する高齢者において,運動,栄養,認知トレーニングといった多因子介入が食品摂取の多様性に及ぼす効果を検討するとともに,口腔保健行動の有無によって介入効果が異なるかを検討した。
【方法】
 本研究は,認知症予防を目指した多因子介入によるランダム化比較研究(J-MINT研究)のデータを使用したpost-hoc analysisである。J-MINT研究では,軽度認知障害を有する高齢者に18か月間の多因子介入(運動指導,栄養指導,認知トレーニング,生活習慣病の管理)を実施し,対照群には健康情報の提供を行った。対象者はベースライン時点でオーラルフレイルを有する高齢者(Oral Frailty Index-8[OFI-8]≧4)とした。口腔保健行動の有無は,OFI-8の下位項目「1日に2回以上は歯を磨く」と「1年に1回以上は歯科医院を受診している」の有無とした。食品摂取の多様性は,過去1週間の13食品の摂取頻度を評価しスコアを算出した。統計解析では,反復測定混合効果モデルを用いて食品摂取多様性スコアの18か月間の変化における介入群と対照群のmean difference(MD)を算出した。さらに,ベースラインの口腔保健行動の有無で対象者を層別し,同様の解析を各群で実施した。
【結果と考察】
 オーラルフレイルを有する者は152名(平均年齢:75.5±4.8歳,女性:83名,介入群:78名)であった。解析の結果,オーラルフレイルを有する者において多因子介入による食物摂取多様性の改善を認めた(MD=1.263,95%CI=0.347-2.150)。一方で,口腔保健行動が保たれている者には介入効果を認めたが,保たれていない者には有意な介入効果を認めなかった。
 本研究の結果から,食品摂取の多様性に対する多因子介入はオーラルフレイルを有する高齢者においても有効であり,さらには口腔保健行動の有無の影響を受けることが示唆された。口腔保健行動は介入前に把握すべき重要な項目である可能性がある。
(COI 開示:なし)
(国立長寿医療研究センター倫理・利益相反委員会 承認番号1288)