一般社団法人日本老年歯科医学会 第35回学術大会

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一般演題(口演発表)

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一般口演3
実態調査

2024年6月29日(土) 13:10 〜 14:10 第4会場 (107+108会議室)

座長:大久保 真衣(東京歯科大学口腔健康科学講座摂食嚥下リハビリテーション研究室)、権田 知也(大阪大学大学院歯学研究科 有床義歯補綴学・高齢者学講座)

[O3-4] 職員健診から見た高齢労働者の睡眠休養感の調査(若年労働者との比較)

○小林 充典1 (1. 医療法人社団美心会 黒沢病院)

【目的】
 健康づくりのための睡眠指針における睡眠12箇条にて睡眠による休養感は健康に重要であることが記されている。超高齢社会に伴い高齢労働者は増加し,睡眠による休養を得ることは重要である。特定健診の質問項目である「睡眠で休養が十分とれている」に関して,睡眠休養感の欠如である非回復性睡眠(NRS)の実態と関連因子について,当法人職員健診データより調査した。
【方法】
 2022年9月〜2023年7月に行われた当医療法人職員健診889名(男性254名,女性635名)を対象に,特定健診項目である睡眠休養感の有無と他項目との影響について,65歳以上(高齢者群)68名(平均年齢69.3歳)と65歳未満(若年者群)821名(平均年齢37.6歳)にて比較検討した。すべての統計解析には統計ソフトウェアEZRを使用した。
【結果と考察】
 NRSは全体の30.7%に見られ,多くが睡眠による休養感を感じていない結果が示され,高齢者群では22.1%,若年者では30.7%であった。睡眠休養感における各健診項目の影響について行った多重ロジスティック解析では,BMI(オッズ比0.08,P=0.003),総コレステロール(オッズ比-0.008,P=0.003),年齢(オッズ比0.02,P=0.002),食事をかんで食べる時の状態(オッズ比1.03,P=0.002),規則的な食事習慣(オッズ比0.94,P<0.001),食事速度(オッズ比-0.40,P=0.033),就寝前飲食習慣(オッズ比-0.96,P<0.001)が有意な因子であった。高齢者群と若年者群での睡眠休養感と各種項目の関連性をχ2乗検定にて見た結果,高齢者群では歩行など1日1時間以上の身体活動において有意な差が見られたが若年者群では見られず,逆に若年者群ではBMI,歩速,食事をかんで食べる時の状態,規則的な食事習慣,食事速度,就寝前飲食習慣にて有意な差が認められた。全体では,睡眠による休養感に運動や栄養に関係する要素が影響を与えている可能性が示唆されたが,高齢者群と若年者群においてその内容に違いが見られた。加齢により睡眠の状態は変化し,不眠症や睡眠時無呼吸などの睡眠関連疾患のリスクが増大し,NSRリスクも増大すると考えられる。
(COI 開示:なし)
(黒沢病院倫理審査委員会承認番号2022-08-1)