一般社団法人日本老年歯科医学会 第35回学術大会

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一般演題(口演発表)

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一般口演4
加齢変化・基礎研究

2024年6月29日(土) 14:20 〜 15:20 第4会場 (107+108会議室)

座長:濵 洋平(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科高齢者歯科学分野)、田中 信和(大阪大学歯学部顎口腔機能治療部)

[O4-2] 嚥下機能が低下した高齢者への発酵漬物摂取による腸内細菌叢変化の解析

○真山 達也1、中川 量晴1、吉見 佳那子1、長澤 祐季1、森豊 理英子1、柳田 陵介1、山口 浩平1、戸原 玄1 (1. 東京医科歯科大学摂食嚥下リハビリテーション学分野)

【目的】
 発酵漬物が健常成人の腸内環境に良い影響を与えることは過去に報告されており、経管栄養から経口摂取へ移行すると腸内環境に良い影響を与えることを我々は報告した。しかし、発酵食品を嚥下機能の低下した高齢者が経口摂取したときの効果は知られていない。そこで、嚥下機能が低下した高齢者が食べやすい形態に発酵食品を調整し、腸内細菌叢の変化を解析、健康への影響の寄与を評価することを目的とした。
【方法】
 対象は、嚥下機能が低下した高齢者5名(平均年齢78±5.4歳)とした。試料は、摂取しやすいよう共同研究施設で作成した1mm幅のザワークラウト(発酵漬物)を使用した。対象者には試料1日全量50gを3回にわけて、2週間摂取させ、糞便は試料摂取前後に採取した。採取した糞便から、次世代シークエンサーを用いた16SrRNA解析を行い、試料摂取前後で対象者の腸内細菌叢に変化を確認するため細菌解析を実施した。細菌叢の種の多様性は、QIIME2を用いてShannon Index、PCoA plotにて評価した。ザワークラウト摂取前後における細菌叢の前後比較をt検定またはWillcoxsonの符号付順位検定にて統計解析を実施した。摂取前後に体調、便通の改善等についてアンケート用紙を用いて対象者よりヒアリング実施を行った。
【結果と考察】
 本研究で使用したザワークラウトは嚥下機能が低下した高齢者でも摂取することができた。また、ザワークラウトを2週間摂取することは、腸内の炎症に関わる細菌叢変化および細菌の多様性改善に寄与した。またアンケート結果から、便通の改善などが期待されることがわかった。このザワークラウトをほかの嚥下機能が低下した高齢者に摂取させ、腸内細菌等の変化を解析し、健康維持に有効であるか検討する予定である。
(COI開示:なし)
(東京医科歯科大学歯学部倫理審査委員会承認 D2021-090)