一般社団法人日本老年歯科医学会 第35回学術大会

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一般演題(口演発表)

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一般口演5
全身管理・全身疾患/連携医療・地域医療

2024年6月30日(日) 09:00 〜 10:30 第4会場 (107+108会議室)

座長:酒井 克彦(東京歯科大学オーラルメディシン・病院歯科学講座)、中川 量晴(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科摂食嚥下リハビリテーション学分野)

[O5-6] 在宅療養中の脳血管障害患者に多職種連携で栄養管理と摂食嚥下リハビリテーション活動を行った一例

○館 宏1 (1. スワローケアクリニック)

【緒言・目的】
 摂食嚥下障害患者の対応においてチーム医療が重要と提唱されている。今回、在宅療養中の脳血管障害患者への1年5か月の多職種連携の栄養管理と摂食嚥下リハビリテーションを経験したので報告する。
【症例および経過】
 80歳男性。2021年10月自転車走行中に転倒し外傷性くも膜下出血等で急性期病院へ搬送。同年12月回復期病院に転院、2022年4月胃瘻造設。2022年6月退院し、6月28日内科主治医より当クリニックへ摂食嚥下リハビリテーション依頼あり、当日初診。経管栄養は1800キロカロリー/日(ラコールNF半固形栄養剤300g×2+ツインラインNF配合経腸用液400ml×3)で管理。
嚥下内視鏡検査(以下VEと略す)では、咽頭内は泡状の唾液貯留や舌根沈下と頚部の拘縮があり、訪問リハビリテーションでは、STによる舌のストレッチや頚部リラクゼーションなどの間接訓練と、PTの下肢筋力向上のための歩行訓練を開始。VE下でNsと咽頭内吸引を併用、30度リクライニング位と頸部前屈の姿勢で、一口量2gのゼリーで直接訓練を開始。直接訓練開始直後は3口摂取後に吸引が必要だったが、唾液貯留も減少し、トイレ歩行可能なほどADLも改善。 
嚥下造影検査(以下VFと略す)は当クリニックで施行。咽頭期の死腔あるも1%トロミ水の嚥下可能と治療的診断。姿勢は70度リクライニング位+頸部前屈、一口量は5gで1%トロミ相当のペースト粥等を約1000g(=約300キロカロリー)を摂取。家族の肉体的負担軽減のため、経腸栄養を見直し、2023年12月現在、医師の許可を得て歯科医師が栄養管理を担当しPGソフト500g×3+経口摂取で管理中。体重は退院直後の42kgから50㎏に増加。
患者の転倒入院や反復性尿路感染、Covid19感染などあったが、今まで誤嚥性肺炎の発症なし。ADL低下なく歩行や排泄、着替えは自立まで回復。
期間内の訪問診療は292回、摂食機能療法は86回、VEは285回、VFは2回であり、旭川市医師会のICTへの記入はNs115回、医師41回、歯科医師258回、薬剤師1回で、今後は座位での経口摂取を目標に多職種連携を継続したい。
【考察】
 患者と家族の在宅療養への深い理解とICT連携のチーム医療が機能し、全身の筋力向上と栄養管理の実践から、教会訪問するまでQOLも回復。
( COI 開示:なし)(倫理審査対象外)