一般社団法人日本老年歯科医学会 第35回学術大会

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口腔機能-2(質疑応答)

2024年6月29日(土) 14:20 〜 15:20 ポスター会場 (大ホールC)

[P-43] 要介護高齢者の口腔細菌数と口腔状態に関する検討

○秋山 悠一1、平塚 正雄2、稲富 みぎわ1、赤木 郁生3、赤嶺 あきな2、加藤 喜久4、庄島 慶一5、氷室 秀高3 (1. 医療法人社団秀和会 水巻歯科診療所、2. 沖縄県口腔保健医療センター、3. 医療法人社団秀和会 小倉南歯科医院、4. 医療法人財団きずな会阿蘇きずな歯科医院・熊本きずな歯科医院、5. 医療法人社団秀和会 小倉北歯科医院)

【目的】
 口腔内細菌の著しい増加は口腔バイオフィルム感染症を引き起こすことが知られている.口腔バイオフィルム感染症は口腔粘膜疾患やその他の歯科疾患,さらには誤嚥性肺炎などの合併症を引き起こし,要介護高齢者のQOL低下や生命予後の悪化を引き起こす可能性がある.今回,要介護高齢者の口腔細菌数を評価し,口腔状態との関連性を明らかにする目的で検討した.
【方法】
 対象は歯科訪問診療により口腔健康管理を受けている要介護高齢者35名(女性21名,男性14名,平均年齢84.6±9.3歳)とした.調査項目は年齢,性別,要介護状態の原因となった主障害名,ADL(Barthel Index),認知症の進行度(FAST),Body Mass Index(BMI),摂食嚥下能力のレベル(FILS),口腔湿潤度,Tongue Coating Index(TCI),口腔細菌数,およびOral Health Assessment Tool(OHAT)とした.口腔細菌数は舌背中央部で採取し,卓上細菌数測定装置(商品名:細菌カウンタ,パナソニック社製)を用いて測定した.細菌数の評価は細菌数レベルを1~7にスコア化し,中央値を基準に口腔細菌数レベルが高いグループと低いグループの2群に分けて評価した.方法は口腔細菌数と各項目の相関関係を解析した.また,口腔細菌数レベルの程度の差により2群に分類し、各項目を比較検討した。検定はスピアマンの順位相関係数,カイ2乗検定,t検定およびMann-WhitneyのU検定を行った.
【結果】
 主障害名はアルツハイマー型認知症(65.7%)が最も多かった.口腔細菌数レベルの中央値は4であった.口腔細菌数レベルはTCIと相関関係(ρ=0.37,P=0.031)が認められた.口腔細菌数レベルが高いグループは低いグループに対して,TCIとOHATの下位項目である口腔清掃のスコアがそれぞれ有意に高値であった(P<0.05).
【結論】
 要介護高齢者の口腔状態において,TCIが高い症例では口腔細菌数の評価が必要になると思われた.
(COI 開示:なし,医療法人社団秀和会倫理審査委員会 承認番号:2401)