一般社団法人日本老年歯科医学会 第35回学術大会

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実態調査-2(質疑応答)

2024年6月29日(土) 14:20 〜 15:20 ポスター会場 (大ホールC)

[P-59] 歯科衛生士校学生の歯科訪問診療に対する意識調査

齋藤 貴之1,3、○津田 花奈子1、佐藤 志穂1、栂安 理絵1,2 (1. 医療法人社団 淼 ごはんがたべたい歯科クリニック、2. 医療法人社団 秀和会 つがやす歯科医院、3. 東京歯科大学口腔健康科学講座 摂食嚥下リハビリテーション研究室)

【目的】
 近年、高齢化が進んでおり、クリニックに通院して歯科診療を受けることの出来ない患者が増加している。それに伴って歯科衛生士の働く場所も多様化しており、歯科診療所の院内にとどまらず、歯科訪問診療、病院、介護保険施設など多岐に渡ってきている。しかしながら、卒前の衛生士校の実習では学生に歯科訪問診療を経験させる機会は少なく、それがその後のキャリアプランにも影響を及ぼしている。そこで今回、衛生士校生に対しアンケート調査を行い、新たな知見を得たので報告する。
【方法】
 対象は歯科衛生士校の学生87名で、訪問歯科診療の授業後にGoogle formにて記名方式のアンケート調査を実施し、解析した。アンケート実施前には回答の自由を説明し、同意を得た生徒より回答を得た。
【結果と考察】
 アンケートを実施したところ89.7%の学生から回答を得た。講義後、歯科訪問診療の印象は変わったと回答した学生は78.2%で、印象が変わった要因としては外来と変わらないようなキャリアを積める、やりがい、歯科訪問診療だから学べるスキルもあることを知ったなどが挙げられた。しかしながら実際に歯科訪問診療の現場を見たことがある学生は21.8%にすぎず、学生の間に歯科訪問診療の現場を見たことが無いという現状が浮き彫りになった。そのためか現時点で興味のある就業先は外来(一般歯科診療/メンテナンス)78.2%、外来(自由診療)52.6%、外来(一般歯科診療/アシスト)30.8%、外来・歯科訪問診療両方16.7%、歯科訪問診療(口腔ケア)10.3%、歯科訪問診療(嚥下リハ)7.7%であった。また10年後に活躍したい・従事したい就業先は外来(一般歯科診療/メンテナンス)は51.3%と比率が下がり、外来(自由診療)47.4%、外来・歯科訪問診療両方33.3%、歯科訪問診療(口腔ケア)20.5%、歯科訪問診療(嚥下リハ)16.7%などの働き方を希望する学生が増加した。これらの調査結果から歯科訪問診療の理解が乏しく、歯科訪問診療に従事することでスキル習得が狭まると考えている学生が多い現状が把握できた。今後は歯科訪問診療への正しい知識を知る機会をつくり、出産や子育てなどライフイベントの際に歯科訪問診療で働くという選択ができるよう、スキル習得の機会を作っていきたいと考えている。
(COI開示:なし)
(倫理審査対象外)