一般社団法人日本老年歯科医学会 第35回学術大会

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その他(質疑応答)

2024年6月30日(日) 10:40 〜 11:40 ポスター会場 (大ホールC)

[P-79] 食習慣サポートアプリの食品多様性への影響

○早川 美知1、本川 佳子1、坂田 穏行2、加藤 麻奈2、白部 麻樹1、岩﨑 正則1,3、大渕 修一1、平野 浩彦1,4 (1. 東京都健康長寿医療センター研究所、2. 森永乳業株式会社健康栄養科学研究所、3. 北海道大学大学院歯学研究院 口腔健康科学講座 予防歯科学教室、4. 東京都健康長寿医療センター 歯科口腔外科)

【目的】
 低栄養は、高齢者の死亡、フレイル・サルコペニア発症リスクを高めることから、早期からの栄養状態の維持・向上への対策が喫緊の課題である。栄養状態の維持・向上にあたっては、咀嚼機能の維持が重要となる。最近ではアプリを活用した栄養支援が多数あり、その中でも食事画像を用いた栄養支援は日常の食生活の把握と咀嚼可能食品の把握に有効となる可能性がある。そこで本研究では、食事画像を活用した食習慣チェックアプリを用いた食事のセルフチェックと管理栄養士による咀嚼可能食品に着目した食事支援が食習慣に及ぼす影響を検討することを目的とした。
【方法】
 本研究は単群前後比較試験である。2022年の板橋お達者健診2011年コホート参加者のうち、低栄養または低栄養傾向の者、咀嚼機能が低下した者を対象に本研究へのリクルートを実施し、同意の得られた者を対象とした。介入期間は12週間で、食習慣チェックアプリ「もぐもぐ日記」(㈱クリニコ)を用いた食事記録、4週ごと3回の管理栄養士による食事支援を行った。食品摂取の多様性スコア(以下、DVS)で評価した食習慣および口腔の健康に関連する項目の介入前後の変化を確認した。
【結果と考察】
 研究参加者27名のうち、途中脱落を除く24名を解析対象とした。年齢の中央値(四分位範囲)は71.5(67.0-73.8)歳、女性66.7%、オーラルフレイルの者は20.8%だった。DVSは介入前5.0(3.0-7.0)点、介入後5.5(4.0-8.0)点であった。DVSの介入前後変化は増加者50.0%、変化なし16.7%、減少者33.3%であった。DVSを構成する10品目の7日間の摂取日数について、魚介類は介入前6.0(5.0-7.0)日、介入後7.0(6.0-7.0)日(P=0.015)、いも類は介入前4.0(2.0-5.0)日、介入後5.0(3.3-6.0)日(P=0.025)と有意に増加した。アプリ記録で摂取食品が意識されたこと、管理栄養士による咀嚼可能食品に着目した食事支援で、簡単な調理法やメニューの提案を行ったことで、魚介類、いも類の摂取頻度の増加につながった可能性がある。今後、介入期間の長期化やより厳格なデザインの研究を実施し、介入効果を明らかにしていく。
(COI開示:森永乳業株式会社)
(東京都健康長寿医療センター研究倫理審査委員会承認番号R22-064)