一般社団法人日本老年歯科医学会 第35回学術大会

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シンポジウム » [シンポジウム4(スポンサードシンポジウム)] 褥瘡患者への対応 ~多職種連携に必要な疾患・病態への理解を深める~

シンポジウム4(スポンサードシンポジウム)
褥瘡患者への対応 ~多職種連携に必要な疾患・病態への理解を深める~

2024年6月29日(土) 14:20 〜 16:00 第1会場 (大ホールAB)

座長:渡部 芳彦(東北福祉大学 健康科学部 医療経営管理学科)、岩佐 康行(原土井病院 歯科)

企画:地域包括ケア委員会
共催:ニュートリー株式会社

[SY4-2] 在宅における栄養状態に問題があった事例の報告

○保坂 明美1 (1. (株)トラントユイット 訪問看護ステーション フレンズ)

【略歴】
平成18年に訪問看護ステーションフレンズ起業
その前に医療法人大庚会訪問看護ステーションこんの管理者として7年勤務
これと言った肩書もなくひたすら目の前の患者、家族の為にと看護を行ってきました。これからも変わらず行って行きたいです。

【抄録(Abstract)】
当ステーションは函館山の麓に事務所を構え、放射状にスタッフが訪問へと向かって行きます。訪問地域は函館市内(旧4町村含む)北斗市、七飯町、木古内町、知内町、福島町、松前町と広域に活動しております。地方に向かうほどサービスの充足が薄くその、地域ならではの栄養に関しても問題が見え隠れしております。近年、在宅においても福祉用具などの充実があり、褥瘡対策がなされております。しかし、福祉用具の能力に対して過信があり、体位変換を行わず同一体位が保持されどうしても仙骨、背骨、踵、などに褥瘡が出来てしまう、更に風邪をひいたことがきっかけとなり急速に低栄養になり復活する事が難しくなってしまうようなケースが多く、褥瘡も栄養も悪くなった状態での訪問依頼が多くあります。日々の介護に対するケアの問題があるのかもしれません。今回、3症例を例に在宅での褥瘡ケアの実際を紹介します。1例目は、75歳男性、パーキンソン病の方です。自宅で両方大転子部の褥瘡が発生し、入院し治療が陰圧閉鎖療法(VAC療法)を行いポケット形成状態で退院してきました。VAC療法期間中安静を保持された為嚥下機能の低下があり誤嚥性肺炎も繰り返し、経口摂取もできない状態でした。何とか軟食を食べられる状況での退院でした。退院後は嚥下機能を観察する視点で、CP10ゼリーの摂取状況を観察し、何とか上手に食べられたので継続で摂取していただき、エンシュアが処方されていましたがリカバリーKを飲用していただきながら、嚥下機能を上げて、食形態もUPされました。褥瘡も徐々に縮小されていきました。2例目は、40代男性、脳性麻痺がありPEGで栄養投与をしている方です。口内炎がなかなか治癒できない期間が続き、リカバリーKを栄養剤と変えて使用し治癒しました。3例目は、95歳男性、白血病の方です。予後2週間の状態で訪問開始となりました。食べる事もできず、点滴等も拒否。入院はされず自宅での看取り希望。妻が認知症の為食事管理はヘルパーさんでした。嚥下機能も低下していたのでゼリー状は何とか食べられました。そこでCP10を使用したところ1か月のお家の時間が得られ妻との時間もでき、自分がいなくなった後の事も決める事ができました。何もなく人生の最期まで過ごせる可能性は少なく、しかし口から食べる事を最後まで維持され、管に繋がれない状態での旅立ちが得られることができるよう、支えて行く事が大切だと思います。