[指定2-1] 急性重症膵炎の腹腔内圧コントロールにおける看護介入
急性重症膵炎は、血管透過性亢進により体液が血管内から非機能的細胞外液層に移行する3rd.space lossが特徴的な病態であり、高度浮腫が1~2週間以上の長期にわたってみられ病態を複雑にする。その中でも、腹腔内圧コントロールには難渋するケースが多く、2次合併症に移行するリスクも高いと言われている。今回、腹水・胸水貯留にて腹腔内圧コントロール、呼吸状態の安定化に難渋し、それに対するケア管理を行い回復に至った事例を経験したので報告する。
倫理的配慮:
個人が特定されるデータに注意し、匿名性の保持を遵守した。
事例紹介:
A氏20代男性。急性重症膵炎(Graide2,予後因子4点)の診断にて、輸液療法・膵局所動注療法・CHDFによる治療目的にてICU入室となった。第2病日、呼吸状態悪化および腹腔内圧管理目的にて人工呼吸管理・筋弛緩薬の開始となった。その後もIAHの状態が続き、腹水ドレナージを繰り返し実施していた。また、呼吸状態は、胸水貯留・無気肺形成に伴い酸素化・換気能ともに低下し、連日の胸水ドレナージ施行と高圧での人工呼吸管理にて経過中であった。第10病日、血液データは、膵酵素・炎症所見共に改善傾向にて経過中であった。
ICU入室後から繰り返す腹水・胸水の貯留は、重症膵炎による3rd.space loss により血管透過性亢進状態が続いていることが考えられた。これにより腹腔内圧は、筋弛緩薬を使用せずには、適切に維持できない状況であった。また、筋弛緩薬の使用やIAP管理に伴う体位制限により、気道クリアランスも悪く、さらなる呼吸状態の悪化やCARSに伴う感染リスクも高く呼吸状態の悪化が引き金となり、全身状態悪化の可能性があった。そこで適切な体液管理を行うことができ、腹腔内圧コントロールが維持できることを目標に以下の看護介入を担当医と検討し実施した。適切な水分管理:血管内水分量の指標は、尿量の厳密な観察に加え、循環動態モニター、血液データにて評価し、腹水・胸水ドレナージの検討指標とした。腹腔内圧管理: IAP指標を用いた体位管理の実施。筋弛緩薬終了は、血液データを考慮した。適切な呼吸管理:体位ドレナージ施行は、IAP管理を考慮した。
結果:
IAPを一定に維持でき、第12病日IAP低下し、筋弛緩薬投与終了となった。その後、第13病日以降は、腹水・胸水ドレナージ実施なく経過できた。また、呼吸状態の悪化を招くことなく管理ができ第18病日抜管し、ICU退室となった。
考察:
今回は、体液管理に必要な指標を担当医と検討し、適切なタイミングで腹水・胸水ドレナージの実施やリフィリング期まで筋弛緩薬の投与を継続したことで腹腔内圧を一定に管理できた。また、腹腔内圧の上昇が生じやすい状況における体位ドレナージは、IAPを経時的に測定することにより安全で効果的に実施できたと考える。さらにリフィリング期を見極めた筋弛緩薬の投与終了は、人工呼吸器離脱の鍵となったと考える。
倫理的配慮:
個人が特定されるデータに注意し、匿名性の保持を遵守した。
事例紹介:
A氏20代男性。急性重症膵炎(Graide2,予後因子4点)の診断にて、輸液療法・膵局所動注療法・CHDFによる治療目的にてICU入室となった。第2病日、呼吸状態悪化および腹腔内圧管理目的にて人工呼吸管理・筋弛緩薬の開始となった。その後もIAHの状態が続き、腹水ドレナージを繰り返し実施していた。また、呼吸状態は、胸水貯留・無気肺形成に伴い酸素化・換気能ともに低下し、連日の胸水ドレナージ施行と高圧での人工呼吸管理にて経過中であった。第10病日、血液データは、膵酵素・炎症所見共に改善傾向にて経過中であった。
ICU入室後から繰り返す腹水・胸水の貯留は、重症膵炎による3rd.space loss により血管透過性亢進状態が続いていることが考えられた。これにより腹腔内圧は、筋弛緩薬を使用せずには、適切に維持できない状況であった。また、筋弛緩薬の使用やIAP管理に伴う体位制限により、気道クリアランスも悪く、さらなる呼吸状態の悪化やCARSに伴う感染リスクも高く呼吸状態の悪化が引き金となり、全身状態悪化の可能性があった。そこで適切な体液管理を行うことができ、腹腔内圧コントロールが維持できることを目標に以下の看護介入を担当医と検討し実施した。適切な水分管理:血管内水分量の指標は、尿量の厳密な観察に加え、循環動態モニター、血液データにて評価し、腹水・胸水ドレナージの検討指標とした。腹腔内圧管理: IAP指標を用いた体位管理の実施。筋弛緩薬終了は、血液データを考慮した。適切な呼吸管理:体位ドレナージ施行は、IAP管理を考慮した。
結果:
IAPを一定に維持でき、第12病日IAP低下し、筋弛緩薬投与終了となった。その後、第13病日以降は、腹水・胸水ドレナージ実施なく経過できた。また、呼吸状態の悪化を招くことなく管理ができ第18病日抜管し、ICU退室となった。
考察:
今回は、体液管理に必要な指標を担当医と検討し、適切なタイミングで腹水・胸水ドレナージの実施やリフィリング期まで筋弛緩薬の投与を継続したことで腹腔内圧を一定に管理できた。また、腹腔内圧の上昇が生じやすい状況における体位ドレナージは、IAPを経時的に測定することにより安全で効果的に実施できたと考える。さらにリフィリング期を見極めた筋弛緩薬の投与終了は、人工呼吸器離脱の鍵となったと考える。