第14回日本クリティカルケア看護学会学術集会

講演情報

指定演題

指定演題3
救急外来の安全管理

2018年7月1日(日) 13:40 〜 14:40 第5会場 (2階 平安)

座長:坂田 久美子(愛知医科大学病院), 座長:石井 恵利佳(獨協医科大学埼玉医療センター)

[指定3-2] 救急外来の安全管理体制

島 美貴子 (市立砺波総合病院 HCU/救急室)

当院は富山県の西側に位置し、人口約13万人の二次救急医療圏の中核病院である。休日、夜間の救急車受け入れは当院を含め3病院で輪番制をとっているが、原則救急車とドクターヘリは断らない方針のため、三次対応に相当する重症外傷も受入れている。しかし救急当番医が専門領域外の受入れを判断するのは困難な現状から、救急隊からの連絡は救急看護師が対応し受け入れ側の状況を判断している。受け入れのマネジメントには、救急隊の情報から患者の緊急度や重症度を評価し必要物品を準備する一方、病院側の状況を把握し、必要な医師や薬剤師、関連するメディカルスタッフにも同時に対応できる調整や情報の共有を図る必要がある。当院ではこのような重症患者を受け入れる場合、現場安全の「スイッチ」を入れると言っている。このスイッチとはできるだけ早い段階から人員確保や物品準備の体制を整備し、安全に患者を受け入れる認識を持ち行動することを言う。患者安全の第一は、患者の生命を救うことである。救急外来ではトリアージを実施することや、院内急変には、Rapid Response System(以下RRS)が導入され患者安全に努めている施設もある。RRSには、(1)患者急変の認識や発見、(2)患者急変に対応するチーム作り、(3)急変対応システムの検証作業とフィードバック、(4)システム運営の管理体制作りなどが挙げられる。当院の救急外来で患者安全に取り組む内容の一つに、重症外傷の受け入に、外科、整形外科、脳神経外科、麻酔科、及び臨床工学技士で構成された救急サポート「外傷チーム」を起動している。このチームのスイッチを押すのは救急看護師である。スイッチを押すタイミングや搬送されてきた患者状況から診療内容を予測しチームで対応し、業務が終了した後は安全に対応できたか症例を振り返り研鑽するよう心がけている。また、当院の救急体制は専門医師が常時院内にはおらず必要な時にコールするため「心筋梗塞」「クモ膜下出血」「大動脈解離」など緊急かつ重症疾患と診断された場合、専門医師が到着するまでに実施しておく「初期治療プロトコール」により早期診療の補助を実践している。限られた人員や物品、治療の制限がある中で多職種が協働しチーム医療を実践していくには、人員を確保する「スイッチ」を早く入れチームのコマンダーを決定し対応する必要がある。最近ではコマンダーが救急患者の全身管理を行い、同時にIVRなどの専門治療を実践するハイブリッド治療にも取り組み患者安全をチームでサポートすることが可能となった。また、組織で患者安全に取り組む内容として、昨年から院内の医療安全委員会に「BLS部」を立ち上げ急変患者対応の検証や再発防止をサポートする部門を設置した。これは急変患者を検証する組織の管理体制部門として位置づけられ、患者の安全管理ならびにスタッフの急変患者の「気づき」を高め、危機に備えた管理体制の整備につながっている。