第14回日本クリティカルケア看護学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

一般演題(口演) O6群
看護教育

2018年7月1日(日) 10:15 〜 11:15 第7会場 (2階 蓬莱)

座長:平尾 明美(神戸大学医学部附属病院), 座長:河合 正成(敦賀市立看護大学 看護学部看護学科)

[O6-1] SCUにおける口腔ケア教育前後の口腔内環境の変化

中川 玲菜, 中西 優子, 瀬戸間 法恵, 立野 淳子 (一般財団法人 平成紫川会 小倉記念病院)

【目的】意識障害患者の口腔ケアに関する教育の効果を口腔内細菌数・保湿度・汚染度の視点から検証すること【方法】研究デザインは、意識障害患者に対する口腔ケアの方法について看護師に教育を行った後の口腔ケアの状況を患者の口腔内環境の視点から明らかにする前後比較研究である。対象者は当院SCUに勤務する看護師(1年目看護師と管理者は除外)とした。教育方法として、意識障害患者の口腔ケアに関連した知識及び、手技について解説したビデオ教材を作成し、看護師に勤務中に最低1回以上視聴してもらった。ブラッシングスキルについては実際に口腔モデルを準備し、ビデオをみながら、練習できるよう配慮した。データ収集方法は、口腔ケア教育を実施する機関を1カ月とし、その前後で昼の口腔ケア実施時に、使用物品、ブラッシング及び口腔ケア時間、細菌数(細菌カウンター®)、保湿度(口腔水分計ムーカス®)、汚染度(ルミテスターPD-30®)を測定した。データ 収集は、口腔ケア前、ブラッシング後、、口腔ケア後の3時点で測定を行った。分析方法は、データを単純集計した後、口腔ケア教育前後を2元配置分散分析で分析した。【倫理的配慮】調査の実施に対し、院内看護研究倫理審査委員会の承認を得た。対象看護師及び患者家族に同意撤回の機会を確保するため、SCU病棟の出入り口に研究の詳細について記したポスターを掲示した。【結果】1.看護師背景 対象看護師は20名で前平均年齢は30.4歳、SCU経験年数は5.2年、後平均年齢は33.1歳、SCU経験年数は4.6年。2.患者背景 教育前の患者の平均年齢は75.3歳で、教育後は66.03歳であった。性別は、教育前は女性が11名、教育後は女性が4名であった。疾患や意識レベルには前後で差はなかったが、教育後は前に比べて指示動作が入らない人が有意に多かった。3.口腔ケア教育の効果 2元配置分散分析の結果、交互作用は確認できなかった。そこで教育前後それぞれの細菌数、保湿度、汚染度の変化を1元配置分散分析を行ったところ、教育前では、細菌数および汚染度に有意な差は認めなかった。保湿度は、口腔ケア開始前に比べ、ブラッシング直後及び口腔ケア後に有意に保湿度が上がっていた。教育後では、口腔ケア前、ブラッシング直後、口腔ケア後の3時点で口腔内の汚染度に有意差を認めた。口腔ケア前に比べ、ブラッシング後は有意に汚染度は増加し、口腔ケア後は有意に汚染度は改善した。保湿度に違いは認めなかった。細菌数は、口腔ケア前に比べブラッシング直後及び口腔ケア後に有意に減少した。【考察】今回、SCUスタッフへ意識障害患者の対する口腔ケアの教育の効果を検証した。教育の効果は統計学的に有意なものは確認できなかったが、教育前に比べ教育後の口腔内の汚染度は口腔ケア開始前に比べ、ブラッシング直後には、汚染度が増し、口腔ケア後は汚染度が改善するというパターンをとることがわかった。これは、ブラッシングのスキル向上によりプラーク破壊ができたこと、また吸引の回収スキルの向上により汚染度が改善したことを意味すると考える。このことより、口腔ケア教育はブラッシングスキルやその後の菌の回収スキルに有益であった可能性がある。意識障害患者の誤嚥性肺炎は重症化につながる重大合併症でもあるため、今後は口腔ケア教育の方法を再度見直し、よりスキルの向上を目指すことの必要性が示唆された。