第14回日本クリティカルケア看護学会学術集会

講演情報

パネルディスカッション

パネルディスカッション4
未来は特定行為にどんな一歩を踏み出して欲しいと思っているのか?~特定行為がもたらすクリティカルケアの質向上と安全性~

2018年7月1日(日) 14:50 〜 16:30 第7会場 (2階 蓬莱)

座長:塚原 大輔(公益社団法人日本看護協会看護研修学校), 座長:戎 初代(東京ベイ・浦安市川医療センター)

[PD4-2] 東京医療センターにおけるJNPの活動から考えるクリティカルケアの質向上と安全性

青木 瑞智子 (独立行政法人国立病院機構東京医療センター クリティカルケア支援室)

国立病院機構では、日本NP教育大学院協議会が定める大学院修士課程(2年課程の特定看護師養成コース)を卒業し、NP資格認定試験に合格した者を、国立病院機構診療看護師(Japanese Nurse Practitioner:JNP)と称している。国立病院機構では、2012年から卒後研修を開始し、現在、全国の国立病院機構29施設85名のJNPが在籍している。
当院では、13名のJNPが在籍している。統括診療部に所属し、入職1年目は、救命救急センター、外科、総合内科を臨床推論や手技、救急対応の基礎を学ぶ基幹領域と位置付けて各3ヶ月、リハビリテーション科、放射線科(CT読影)、生理検査室(腹部超音波検査)などの関連領域を各1ヶ月と1年間のローテンション研修を受ける。2年目には配属先が決定し、現在、救急科には4名のJNPが在籍している。
救急科でのJNPの主な業務は、二次救急外来診療、三次救急患者の診療サポート、受け持ち患者の日々の診療を行っている。その他に、「ERST」と称する早期離床サポートチームをJNPが立ち上げ、リハビリ科や救急科医師と連携を取りながら、救命救急センターを中心に重症患者のリハビリを早期から積極的に行っている。また、離床だけではなく、人工呼吸器離脱後等の早期嚥下評価・訓練についても、JNPが中心に行っている。現在では、院内のコンサルトにも対応しており、組織横断的に活動の場を広げている。さらに、院内NSTと連携し、救命救急センター栄養サポートチームの立ち上げに向け、準備を行っている。チーム医療の質を向上させることは、クリティカルケアの質の向上に繋がると考える。そのチーム医療のリーダーやコーディネーターとしての役割をJNPが担うことが期待されている。それは、JNPが特定行為や臨床推論、患者の病態把握、それに基づく判断能力に加えて、看護師としての視点を兼ね備えているからである。
今後、クリティカルケアの質を向上させるためには、医師の診療補完業務といった医師不足による量的貢献だけではなく、特定行為における知識や手技に加え、臨床推論に基づく判断力を身につけた看護師の人数が増加することが必要であると考えるとともに期待したい。