第14回日本クリティカルケア看護学会学術集会

講演情報

シンポジウム

シンポジウム1
チーム医療の充実と安全管理の成果 チームステップスの構築

2018年6月30日(土) 15:40 〜 17:40 第1会場 (5階 大ホール)

座長:道又 元裕(杏林大学医学部附属病院 看護部), 座長:久間 朝子(福岡大学病院看護部 救命救急センター)

[S1-1] 自施設ICUスタッフのノンテクニカルスキルの現状と課題

大槻 勝明 (土浦協同病院 GICU)

Key words:医療安全、チームSTEPPS、ノンテクニカルスキル、コンピテンシー

近年、情報テクノロジーの進歩、グローバル化に伴い、人々の価値観が多様化したことで、これまで以上に患者中心の考え方の重要性が問われ、個別性を重視したケアが必要とされてきています。また、医療技術の進歩・細分化に伴い治療、処置についても多様化、複雑化しています。それに相応すべく、看護師の判断能力や専門性に関わる研鑽は行われているものの、臨床におけるインシデント、アクシデントの発生を抑制できずにいるのが現状です。日本看護協会による看護職員実態調査において、「職場における悩みや不安」の第一位は「医療事故への不安(61.6%)」が挙げられ、約半数がそのことが原因で離職を考えたことがあると回答しています。したがって、患者が安心・安全で医療が提供されることは勿論のこと、医療職者が安心かつ安全に医療に従事できるよう医療安全に関して組織として取り組んでいく必要があります。
医療事故の多くは、コミュニケーションの障害などで実質的に機能しないチームワークの欠如から発生すると言われています。このヒューマンエラーをチーム力でカバーしていくことでリスクを軽減させることが可能となります。そのためには、医療スタッフ間での連携を推進し、チームとして協働するためのスキル(ノンテクニカルスキル:テクニカルスキルを補って完全なものとする認知的、社会的、個人的なリソースとしてのスキルであり、安全かつ効率的なタスク遂行に寄与するもの)を身につける必要があります。このチームパフォーマンスを向上させるチームトレーニングプログラムとして、チームSTEPPSが推奨されています。チームSTEPPSの基本的枠組みには、1)リーダーシップ、2)状況モニター、3)相互支援、4)コミュニケーションの4つのコンピテンシーが掲げられており、医療チームメンバーが4つのコンピテンシーを実践することにより、知識、態度、パフォーマンスの3つの側面からのアウトカムが得られるとしています。
今回、医療安全の取り組みの第一段階として、自施設ICUスタッフにおけるノンテクニカルスキルの自己および他者評価の現状調査から個々のスタッフのノンテクニカルスキル向上と次に取り組むべき課題について報告します。