第15回日本クリティカルケア看護学会学術集会

講演情報

シンポジウム

[SY7] 現場教育の実践と課題

2019年6月16日(日) 14:20 〜 15:50 第1会場 (2F レセプションホール)

座長:江口 秀子(鈴鹿医療科学大学)、田村 冨美子(聖路加国際病院)

14:20 〜 14:35

[SY7-1] 現場教育の実践と課題-大学における教育の取り組み-

○苑田 裕樹1 (1. 日本赤十字九州国際看護大学)

キーワード:シームレス、自己調整学習者、看護教育

 新人看護職員研修は、2010年に努力義務化され、新人看護職員研修ガイドライン(2014年改訂)の推進や基礎と臨床の連携強化を通して、新人看護師の臨床実践能力の向上に向けた体制整備が進みつつある。看護教育は、多様化する社会・時代のニーズに適切に対応できる看護師の育成を効果的、 効率的に行っていく必要がある。そのためには、養成教育のスタートラインである看護基礎教育と看護職としてのスタートラインである新人看護職員研修が、それぞれの制約条件がある中で、一本化しシームレスな教育のあり方を検討し、質の高い看護職の育成を目指す必要がある。本学はAP(Acceleration Program for University Education Rebuilding:大学教育再生加速プログラム)の採択校として、生涯学び続け、成長し続ける看護人材を育成するために、学士課程教育と就職先での現任教育とをシームレスに接続する「看護職キャリアパス基礎スケール〈仮称〉」と「ディプロマ・サプリメント(学位証明書補足資料)」を開発している。これにより、卒業時の学修成果を社会から評価することを可能にし、適切な現任教育に繋げることができ、看護基礎教育からエキスパートナース育成までの一貫した教育システムの確立に貢献することを目指している。
 また、近年「自己調整学習」理論が教育分野で注目されている。「高等教育の主要な目標は、生涯学習者(lifelong learners)を育てることである。それは、自ら新しい知識を獲得、保持、検索できる、意図的、自立的、自己主導的な学習を意味する」と(学生を自己調整学習者に育てる:L・B・ニルソン著、美馬のゆり・伊藤崇達監訳)述べられているように、単に表面的な知識や技術を教え込むことではなく、「自ら学ぶ力」を育成することが大学教育の義務と記されている。本学のクリティカルケア科目(2018年度開講)では、この理論を参考とし、「動機付け」「学習方略」「メタ認知」(伊藤崇達:「学ぶ力を育む」方略)の3要素を踏まえた授業を設計し、「自ら学ぶ力」の育成を目指して取り組んでいる。
 これらの本学の取り組みについてまだ成果は明らかに示していないが、シームレスな教育に向けた看護大学の取り組み、そして自己調整学習者を育成する授業方略の取り組みとして紹介する。