[O10-2] 一般病棟における周術期患者の重篤化を予測した看護実践
キーワード:一般病棟、看護実践、周術期患者、急変、重篤化
【背景と目的】
医療制度の変化に伴い、周術期患者の療養環境が大きく変化し、重篤な状態のまま一般病棟へ退室する患者が増えている。一般病棟における周術期患者の重症化に伴い、急変を未然に防ぐ関わりが一層重要である。患者の急変や重篤化を予測した際に、一般病棟における看護実践を記述することで、一般病棟のクリティカルケア看護の知の構築に繋がると考えた。
【方法】
半構造化インタビューを用いた質的記述的研究デザインである。関東圏内の病床数300床以上の急性期病院1施設の経験4年以上の看護師を対象とし、同意が得られた4名に、1人2回ずつインタビューを実施した。
対象者毎にエピソードを再構成し、どのように重篤化を予測し看護実践を行っていたのかに着目し、〈サブテーマ〉、テーマをつけた。
【倫理的配慮】
研究者の所属する大学の研究倫理審査委員会の承認を得て実施した。対象者へは、口頭と書面にて研究の趣旨、研究諾否による不利益は生じないこと、個人情報の保護を説明し、同意を得た。
【結果】
1.急変への危機感を持ち、いつ急変しても対応できるように備える:A看護師
A看護師は部屋の状況から〈急変につながる違和感を感じ〉、〈違和感をそのままにせずモニターを手配する〉ことで、他の看護師も対応できるよう備えた。〈急変への危機感を募らせ、その場へとどまり〉、患者の呼吸停止の際も、即座に患者に飛びつき、〈胸骨圧迫をしながらスタッフへ指示を出した〉。
2. 患者の状態の悪化に対応するために、自ら行動する:B看護師
B看護師は、会話から喘鳴を捉え〈患者の普段との違いに気に留め〉、〈合併症の予兆に関する情報を集め、今後の予測を立てた〉。〈医師の迅速な対応を引き出すため、患者の状況を直接報告し〉、〈時間を確保できる自分が代わり、患者の対応を行う〉ことで、詳細な患者の観察を行なった。
3. 患者の状況を他者と共有することで患者の悪化予防につなげる:C看護師
C看護師は、〈術後患者の正常な経過との違いから合併症の可能性を予測〉し、切迫感を募らせていた。〈スタッフ間で患者の深刻な状況を共有し、医師へ伝え〉、〈日頃からの関係性を元に、患者の状況を伝えることで医師の行動を引き出し〉ていた。
4. 悪化する前に早め早めの対策をとる:D看護師
D看護師は、〈病棟ですれ違った時の様子から、患者の変化を読み取り覚えていた〉。〈患者の緊急度が高くなくても、早めに医師へ報告する〉ことで、医師の行動を引き出した。〈元気になった患者の話をして医師との関係性を構築し、お互いに協力する〉急変を未然に防ぐ実践であった。
【考察】
研究参加者は、一般病棟という多様な業務を抱え、時間的余裕が十分でない状況において、療養生活という状況の中から違和感を感じ、着目した。そして、違和感と普段との違いを知ることで、急変への危機感を増し瞬時に急変へつながる状況を捉えていた。それは、急変への対応へ繋げる一歩として重要な意味を持つと考えられる。
また、モニター装着により患者の病態を共有し、他の看護師の実践を引き出していた。日頃からの医師との関係性は、個人としてお互いの価値や専門性を尊重できる関係性となっており、チーム医療の土台となっていた。急変につながる状況を改善するため、周囲の実践を引き出す一般病棟ならではの看護実践であったと考える。
患者の状態の変化という状況の中で、考えるよりも先にまずは行動していた。目の前の患者や状況に応じようと、看護師の経験、知識、考えに基づき生み出される実践は、刻一刻と悪化する状況に促され生じる看護実践であり、悪化を防ぐ再現性のない個別的な看護実践であったと考える。
医療制度の変化に伴い、周術期患者の療養環境が大きく変化し、重篤な状態のまま一般病棟へ退室する患者が増えている。一般病棟における周術期患者の重症化に伴い、急変を未然に防ぐ関わりが一層重要である。患者の急変や重篤化を予測した際に、一般病棟における看護実践を記述することで、一般病棟のクリティカルケア看護の知の構築に繋がると考えた。
【方法】
半構造化インタビューを用いた質的記述的研究デザインである。関東圏内の病床数300床以上の急性期病院1施設の経験4年以上の看護師を対象とし、同意が得られた4名に、1人2回ずつインタビューを実施した。
対象者毎にエピソードを再構成し、どのように重篤化を予測し看護実践を行っていたのかに着目し、〈サブテーマ〉、テーマをつけた。
【倫理的配慮】
研究者の所属する大学の研究倫理審査委員会の承認を得て実施した。対象者へは、口頭と書面にて研究の趣旨、研究諾否による不利益は生じないこと、個人情報の保護を説明し、同意を得た。
【結果】
1.急変への危機感を持ち、いつ急変しても対応できるように備える:A看護師
A看護師は部屋の状況から〈急変につながる違和感を感じ〉、〈違和感をそのままにせずモニターを手配する〉ことで、他の看護師も対応できるよう備えた。〈急変への危機感を募らせ、その場へとどまり〉、患者の呼吸停止の際も、即座に患者に飛びつき、〈胸骨圧迫をしながらスタッフへ指示を出した〉。
2. 患者の状態の悪化に対応するために、自ら行動する:B看護師
B看護師は、会話から喘鳴を捉え〈患者の普段との違いに気に留め〉、〈合併症の予兆に関する情報を集め、今後の予測を立てた〉。〈医師の迅速な対応を引き出すため、患者の状況を直接報告し〉、〈時間を確保できる自分が代わり、患者の対応を行う〉ことで、詳細な患者の観察を行なった。
3. 患者の状況を他者と共有することで患者の悪化予防につなげる:C看護師
C看護師は、〈術後患者の正常な経過との違いから合併症の可能性を予測〉し、切迫感を募らせていた。〈スタッフ間で患者の深刻な状況を共有し、医師へ伝え〉、〈日頃からの関係性を元に、患者の状況を伝えることで医師の行動を引き出し〉ていた。
4. 悪化する前に早め早めの対策をとる:D看護師
D看護師は、〈病棟ですれ違った時の様子から、患者の変化を読み取り覚えていた〉。〈患者の緊急度が高くなくても、早めに医師へ報告する〉ことで、医師の行動を引き出した。〈元気になった患者の話をして医師との関係性を構築し、お互いに協力する〉急変を未然に防ぐ実践であった。
【考察】
研究参加者は、一般病棟という多様な業務を抱え、時間的余裕が十分でない状況において、療養生活という状況の中から違和感を感じ、着目した。そして、違和感と普段との違いを知ることで、急変への危機感を増し瞬時に急変へつながる状況を捉えていた。それは、急変への対応へ繋げる一歩として重要な意味を持つと考えられる。
また、モニター装着により患者の病態を共有し、他の看護師の実践を引き出していた。日頃からの医師との関係性は、個人としてお互いの価値や専門性を尊重できる関係性となっており、チーム医療の土台となっていた。急変につながる状況を改善するため、周囲の実践を引き出す一般病棟ならではの看護実践であったと考える。
患者の状態の変化という状況の中で、考えるよりも先にまずは行動していた。目の前の患者や状況に応じようと、看護師の経験、知識、考えに基づき生み出される実践は、刻一刻と悪化する状況に促され生じる看護実践であり、悪化を防ぐ再現性のない個別的な看護実践であったと考える。