[O2-4] ICUにおける気管挿管患者の口腔ケア充実にむけての取り組み
キーワード:口腔ケア、OAG、気管挿管患者
【はじめに】経口挿管中は人工呼吸器関連肺炎(以下VAP)のリスクが高い。VAP予防には定期的な口腔内の清潔保持が重要である。A病院集中治療室(以下ICU)では口腔内環境の問題への対処は看護師の経験知に委ねられ、また口腔ケアは実施しているが口腔内の状態は記録していなかった。そのため、口腔内環境について看護師間の情報共有ができていない現状であった。今回、気管挿管患者を対象に、患者の口腔環境に合わせたケアの実現に向けて、口腔ケアアセスメントガイドOral Assessment Guide(以下OAG)を導入した。OAG導入前後で、OAGスコア評価と看護師のアンケート調査を比較し、導入による効果を明確にする。
【目的】気管挿管患者の口腔ケアに対するOAG導入の効果を明確にする
【方法】対象:①ICU看護師40名(当病棟経験年数1~4年目:15名、5~10年目:16名、10年目以上:9名) ②気管挿管患者13名(成人6名 小児7名)期間:令和元年8月16日~12月1日 方法:①導入前後で看護師にアンケート調査を実施(質問2項目選択 自由記載あり)し、比較②導入前後で気管挿管患者にOAGスコアを評定。OAGは声、嚥下、口唇、舌、唾液、粘膜、歯肉、歯と義歯の8項目で評価し点数が低いほど口腔内環境は良いとされる。合計点数毎にケアプロトコルがあり個々の患者の口腔内環境にあったケアが提供できる。今回は気管挿管患者対象のため、声と嚥下は除外し6項目で評価し最高点6点、最低点18点とした。本研究にあたり施設の倫理審査委員会の承認を得た。
【結果】OAG平均スコアは導入前8.52点、導入後7.44点で有意に差が認められた(p<0.05)。項目別での改善率は「唾液」が-0.3点で、口腔内乾燥に対するケアが改善したといえる。アンケート調査で、口腔内環境の状態を評価するスケールを知っているか尋ねたところ、はいと答えたスタッフは導入前45%に対して導入後97.1%へ増加した。また口腔ケアの自信の有無を尋ねたところ、導入前20.7%に対して導入後79.3%へ増加した。自由記載では「OAGを導入する事で継続的で統一した口腔ケアができた」、「保湿やブラッシングを意識して口腔ケアをするようになった」、「ケアの方法を引き継ぐことが出来た」等の意見があった。
【考察】OAG導入により口腔内環境を評定し記録を残すことで、スタッフ間の情報共有ができるようになった。OAGでは項目別に評価するため、口腔内環境で問題がある項目を客観的に捉え、統一して介入できた。導入後、OAGスコアが最高点に近づき、口腔内環境の改善に役立ったといえる。OAGを項目別にみてみると「唾液」において口腔内乾燥に対するケアの意識が低かったが、OAGケアプロトコルで唾液ケアの方法を学びその必要性が認識できたと考えられる。
またOAG導入後は口腔内環境の客観的評価が可能となり、口腔ケアを実施毎に評定することで、介入が効果的だと実感し、口腔ケアに自信がついたと考えられる。継続介入によりVAP予防につながると期待される。
【結語】
OAG導入により、患者の口腔内環境について看護師間の情報共有ができ、問題となる項目に対して共通認識をもって介入し、患者の状態に合わせた口腔ケアが実施できた。
【目的】気管挿管患者の口腔ケアに対するOAG導入の効果を明確にする
【方法】対象:①ICU看護師40名(当病棟経験年数1~4年目:15名、5~10年目:16名、10年目以上:9名) ②気管挿管患者13名(成人6名 小児7名)期間:令和元年8月16日~12月1日 方法:①導入前後で看護師にアンケート調査を実施(質問2項目選択 自由記載あり)し、比較②導入前後で気管挿管患者にOAGスコアを評定。OAGは声、嚥下、口唇、舌、唾液、粘膜、歯肉、歯と義歯の8項目で評価し点数が低いほど口腔内環境は良いとされる。合計点数毎にケアプロトコルがあり個々の患者の口腔内環境にあったケアが提供できる。今回は気管挿管患者対象のため、声と嚥下は除外し6項目で評価し最高点6点、最低点18点とした。本研究にあたり施設の倫理審査委員会の承認を得た。
【結果】OAG平均スコアは導入前8.52点、導入後7.44点で有意に差が認められた(p<0.05)。項目別での改善率は「唾液」が-0.3点で、口腔内乾燥に対するケアが改善したといえる。アンケート調査で、口腔内環境の状態を評価するスケールを知っているか尋ねたところ、はいと答えたスタッフは導入前45%に対して導入後97.1%へ増加した。また口腔ケアの自信の有無を尋ねたところ、導入前20.7%に対して導入後79.3%へ増加した。自由記載では「OAGを導入する事で継続的で統一した口腔ケアができた」、「保湿やブラッシングを意識して口腔ケアをするようになった」、「ケアの方法を引き継ぐことが出来た」等の意見があった。
【考察】OAG導入により口腔内環境を評定し記録を残すことで、スタッフ間の情報共有ができるようになった。OAGでは項目別に評価するため、口腔内環境で問題がある項目を客観的に捉え、統一して介入できた。導入後、OAGスコアが最高点に近づき、口腔内環境の改善に役立ったといえる。OAGを項目別にみてみると「唾液」において口腔内乾燥に対するケアの意識が低かったが、OAGケアプロトコルで唾液ケアの方法を学びその必要性が認識できたと考えられる。
またOAG導入後は口腔内環境の客観的評価が可能となり、口腔ケアを実施毎に評定することで、介入が効果的だと実感し、口腔ケアに自信がついたと考えられる。継続介入によりVAP予防につながると期待される。
【結語】
OAG導入により、患者の口腔内環境について看護師間の情報共有ができ、問題となる項目に対して共通認識をもって介入し、患者の状態に合わせた口腔ケアが実施できた。