第17回日本クリティカルケア看護学会学術集会

講演情報

プラクティスセミナー(共催)

[PS22] ICUにおけるCOVID-19呼吸療法・感染対策と看護のジレンマーICTの考え、現場の気持ちー 共催:Fisher & Paykel Healthcare株式会社

[PS22-01] [プラクティスセミナー] ICUにおけるCOVID-19呼吸療法・感染対策と看護のジレンマ ーICTの考え、現場の気持ちー

○伊藤 雄介1、○宮本 真奈美2 (1. 兵庫県立尼崎総合医療センター 小児救急集中治療科、小児感染症内科、2. 兵庫県立尼崎総合医療センター 看護部)

キーワード:COVID-19、新型コロナウイルス、感染対策

「やりたい看護ができないことは、感染の心配よりストレスです」

 第1波が終わろうとしていたある日、ICUのスタッフからICTが言われた言葉である。当院は県内におけるCOVID-19診療の重点基幹病院として、中等症から重症患者を中心に2020年春より患者を受け入れてきた。ICUでのCOVID-19感染対策は非常に難しい。人工呼吸器やハイフローセラピーなどいわゆるエアロゾル発生手技と呼ばれる各処置、腹臥位管理や呼吸リハビリなど多くのスタッフを必要とするケア、スタッフや処置が多いがゆえに足りなくなるPPEなど、様々な問題を抱えていた。

 そのような中で当初ICTとしては“なるべく最小限の人と処置で”を軸に感染対策を決めていった。確かにICTの使命は「スタッフを感染させないこと」である。しかし、そのことばかりを考えていたため、従来おこなっていた治療やケアが提供できていないことがあった。そしてそれは、実はスタッフのストレスにもなっていたのである。

 ICUにおけるCOVDI-19の感染対策は難しい。しかし、COVID-19の診療を継続するなかで、気をつけるべき点とそうでない点がわかってきたのも事実である。本講演では、感染症内科の医師と集中治療室の看護師の2名でお話をさせて頂く。最初にICTの立場からこの1年でわかってきたいくつかのエビデンスと当院の集中治療室における感染対策をお話する。その後、看護師の立場から“感染対策と看護のジレンマ”について、現場で何が起こっていたのか、それをどう乗り越えていったのかをお話したい。本講演が各施設の集中治療室における感染対策の見直しに役立てていただき、“患者が必要としている”“スタッフが提供したい”ケアを行うきっかけになれたらと思っている。