第21回日本救急看護学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

救急外来看護

[O14] O14群 救急外来看護③

2019年10月4日(金) 16:20 〜 17:20 第9会場 (1F 中会議室103)

座長:新田 直巳(市立札幌病院 救命救急センター)

[O14-2] 夜間病床管理体制の変更による急病センターへの影響~救急患者と急病センター看護師への効果を検証して~

玉城 清 (地方独立行政法人 那覇市立病院)

【はじめに】当急病センターはベッド数13床の二次救急医療施設であり救急搬送やウォークイン患者を平成29年度42,640人受け入れている。入院患者数は4,989人、うち内科は2,296人で全体の46%を占めている。受診患者が集中し混雑してくると患者滞在時間が長くなり救急車の受け入れも困難となる状況があった。入院待機患者が速やかに入院することで急病センターのベッドを確保し救急車受け入れ率上昇に繋がると考えた。これまで入院病棟の選定を多忙な中、病棟当直医師が一人で行っていた。病棟当直医師の負担軽減と効果的な救急病床運用のため看護師による病棟選定が始まった。しかし、急病センターと病棟看護師間の入院調整に対するストレスなど新たな問題が生じた。そこで夜間の入院を一つの病棟で受け入れる夜間救急病床(10床)の運営が開始となった。【目的】夜間病床管理体制の運営が開始されたことで急病センター患者滞在時間、救急車受け入れ率、看護師の心理的側面にどのような影響があったかを知り、今後の課題を見出す。【方法】1.データ収集期間:平成26年12月~平成29年5月。2.研究対象:夜間勤務帯(16時~翌9時)の内科入院患者をカルテから後向き調査。3.調査項目:①患者の来院時間~入院時間を調査し患者滞在時間。②患者の入院時間帯。③救急車受け入れ率。④アンケートで看護師の心理状態の変化。【倫理的配慮】当院の倫理委員会の承認を得た。【結果】7時間以上の滞在患者数が夜間病床管理体制変更前(以下、変更前)238人、夜間病床管理体制変更後(以下、変更後)92人、夜間救急病床開設後74人だった。入院時間帯8時~9時では変更前268人、変更後80人、夜間救急病床開設後、10人だった。救急車受け入れ率は変更前平均92%、変更後平均94.1%、夜間救急病床開設後平均95%だった。アンケートでは16人中15人回収(回収率93.8%)。平成27年10月から看護師による病棟選定が始まった。変更前と比べてどう感じましたかの問いに非常に負担になった14人(93.3%)、無回答1人(6.66%)となった。平成28年8月から夜間救急病床が開設された。看護師による病棟選定の時と比べてどう感じましたかの問いに非常に負担になった1人(6.66%)やや負担になった1人(6.66%)やや楽になった6人(40%)非常に楽になった7人(46.6%)となった。自由記載としては救急病床をしっかり10床確保してほしい、急病センター多忙時の応援態勢改善の必要性などがあった。【考察】7時間以上の滞在患者数が238人から74人に減少した。入院時間帯では8時~9時の入院患者数は268人から10人に減少した。これは一つの病棟に入院することで病棟選定の必要もなくなり患者が速やかに入院できるようになったことが一因だと考える。また患者滞在時間が短縮されたことで患者や家族の負担も軽減されたのではないだろうか。救急車受け入れ率は92%から95%に上昇している。これは患者が速やかに入院できることで急病センターのベッドを確保することができ救急車受け入れ率上昇に繋がったと考える。アンケート結果より夜間救急病床開設前は看護師の業務的、心理的負担がうかがえた。夜間救急病床開設後は病棟選定の必要がなく看護師の心理的負担の軽減になったと考える。自由記載については今後検討が必要だと考える。【結論】患者の長期滞在時間が短縮された。救急車受け入れ率が上昇した。看護師の心理的負担軽減に繋がった。