[O22-2] A病院HCU病棟におけるせん妄予防に対する取り組みについて
【目的】
A病院のHCU病棟は2年半前に創設された新規病棟であり、高齢者、呼吸・循環不全などせん妄リ
スクの高い患者の入室が多い。しかし、病棟内にはせん妄予防に関する具体的な取り決めはなく、
病棟看護師のせん妄に対する認識も低い現状がある。今回入院早期からICDSC(Intensive Care
Delirium Screening Checklist)を用いてせん妄のリスク評価を行い、院内高齢者サポートチーム
(以下GSTとする)介入につなげるためのフローチャート作成により得られた効果を検討し、今後の課
題を明らかにする。
【方法】
1.期間・対象
フローチャート導入前20XX年1月(59名)、導入後20XX年3月(29名)の各1か月間、A病院HCU
病棟に入院した患者(計88名)
2.方法・分析
1) フローチャート導入前後で院内のせん妄リスクアセスメントシートを用いてせん妄ハイリス
ク患者のスクリーニング調査、せん妄発症率・GST介入件数、予防的介入の有無について調
査。
2)1)のデータについて単純集計後、量的分析を行う。
【倫理的配慮】
当院看護部倫理委員会での審査を受け承認を受けた。
【結果】
対象患者はHCU病棟に入院した10~100代の男女計88名、導入前後で疾患の有意差はなく、平均
在室日数は2.5日であった。
導入前は、入院患者の89%がせん妄ハイリスク患者であった。カルテ内容からICDSC評価を実
施。4点以上は12件(20%)、1~3点は39件(66%)、0点は8件(13%)、GST介入は3件(5%)。予防
的介入はカルテから確認できなかった。
導入後は、90%がせん妄ハイリスク患者であった。ICDSC評価4点以上が5件(17%)、1~3点は
15件(52%)、0点は9人(42%)、GST介入件数は5件(17%)。ICDSC4点以上ではGST介入とともに
看護計画が立案され、予防的介入が行われていた。ICDSC1~3点の患者の看護計画立案はなかった
が、看護記録から環境調整やリアリティ・オリエンテーション等が実施されていた。
【考察】
フローチャート導入前後でせん妄発症率に差はなく、亜症候性せん妄の患者割合が高かった。フ
ローチャート導入後も、フローチャートの使用が定着しておらず、GST介入件数は少なかったが、
栗生田らの研究で、専門的ケアコンサルテーションによるスタッフの不安解消、直接介入し臨床で
のケアモデルとなることで、せん妄の早期発見につながると示されており、チームアプローチは重
要であると考える。GST介入時に得られた情報・知識を元に、せん妄リスクのある患者に対して予
防的介入が増えている現状があり、GST介入患者以外にも予防的介入の実施を増やすことに繋がっ
たのではないかと考える。また卯ノ木らもICDSC活用により、個々の患者の「見えなかった」症状
が明らかになることはその後のケアに有益だと考えると示しており、今回ICDSC評価を導入したこ
とで、数値で評価ができ病棟看護師間で共通認識を持ち、せん妄の早期発見や効果的な介入の検討
を増やすことに繋がったのではないかと考える。フローチャートの使用については、使用を開始し
たばかりで定着していない現状があるため、病棟看護師への周知を再度徹底し継続していく必要が
ある。また病棟看護師が主体的に予防的介入が行えるようフローチャートの内容の修正・検討が必
要と考える。A病院HCU病棟では平均入室期間が短く一般病棟転棟後にせん妄発症の可能性があり
一般病棟への継続看護のため、介入内容を看護計画にどのように反映していくかが今後の課題であ
る。
A病院のHCU病棟は2年半前に創設された新規病棟であり、高齢者、呼吸・循環不全などせん妄リ
スクの高い患者の入室が多い。しかし、病棟内にはせん妄予防に関する具体的な取り決めはなく、
病棟看護師のせん妄に対する認識も低い現状がある。今回入院早期からICDSC(Intensive Care
Delirium Screening Checklist)を用いてせん妄のリスク評価を行い、院内高齢者サポートチーム
(以下GSTとする)介入につなげるためのフローチャート作成により得られた効果を検討し、今後の課
題を明らかにする。
【方法】
1.期間・対象
フローチャート導入前20XX年1月(59名)、導入後20XX年3月(29名)の各1か月間、A病院HCU
病棟に入院した患者(計88名)
2.方法・分析
1) フローチャート導入前後で院内のせん妄リスクアセスメントシートを用いてせん妄ハイリス
ク患者のスクリーニング調査、せん妄発症率・GST介入件数、予防的介入の有無について調
査。
2)1)のデータについて単純集計後、量的分析を行う。
【倫理的配慮】
当院看護部倫理委員会での審査を受け承認を受けた。
【結果】
対象患者はHCU病棟に入院した10~100代の男女計88名、導入前後で疾患の有意差はなく、平均
在室日数は2.5日であった。
導入前は、入院患者の89%がせん妄ハイリスク患者であった。カルテ内容からICDSC評価を実
施。4点以上は12件(20%)、1~3点は39件(66%)、0点は8件(13%)、GST介入は3件(5%)。予防
的介入はカルテから確認できなかった。
導入後は、90%がせん妄ハイリスク患者であった。ICDSC評価4点以上が5件(17%)、1~3点は
15件(52%)、0点は9人(42%)、GST介入件数は5件(17%)。ICDSC4点以上ではGST介入とともに
看護計画が立案され、予防的介入が行われていた。ICDSC1~3点の患者の看護計画立案はなかった
が、看護記録から環境調整やリアリティ・オリエンテーション等が実施されていた。
【考察】
フローチャート導入前後でせん妄発症率に差はなく、亜症候性せん妄の患者割合が高かった。フ
ローチャート導入後も、フローチャートの使用が定着しておらず、GST介入件数は少なかったが、
栗生田らの研究で、専門的ケアコンサルテーションによるスタッフの不安解消、直接介入し臨床で
のケアモデルとなることで、せん妄の早期発見につながると示されており、チームアプローチは重
要であると考える。GST介入時に得られた情報・知識を元に、せん妄リスクのある患者に対して予
防的介入が増えている現状があり、GST介入患者以外にも予防的介入の実施を増やすことに繋がっ
たのではないかと考える。また卯ノ木らもICDSC活用により、個々の患者の「見えなかった」症状
が明らかになることはその後のケアに有益だと考えると示しており、今回ICDSC評価を導入したこ
とで、数値で評価ができ病棟看護師間で共通認識を持ち、せん妄の早期発見や効果的な介入の検討
を増やすことに繋がったのではないかと考える。フローチャートの使用については、使用を開始し
たばかりで定着していない現状があるため、病棟看護師への周知を再度徹底し継続していく必要が
ある。また病棟看護師が主体的に予防的介入が行えるようフローチャートの内容の修正・検討が必
要と考える。A病院HCU病棟では平均入室期間が短く一般病棟転棟後にせん妄発症の可能性があり
一般病棟への継続看護のため、介入内容を看護計画にどのように反映していくかが今後の課題であ
る。