[O22-4] 救命センターにおける不眠患者へのアプローチ検討 第1報 -看護師の抱えるジレンマ体験の分析を行って-
Ⅰ目的
不眠に対する介入として、薬剤投与、安楽な体位調整、環境整備など様々な方法があるが、何を選択するかは看護師個人に任されている。薬剤投与で入眠できる患者もいるが、薬剤の効果の遷延により、日中の覚醒が悪く離床が遅れるなどの弊害に至っている現状があった。その背景には不眠に対する評価のばらつきや薬剤の知識や使用方法に個人差がある事が考えられ、その実態が看護師のジレンマに繋がっているという意見も聴かれた。
そこで、ICU・病棟に勤務する看護師に対して、不眠患者への介入についての調査を行い、問題点を明らかにすることとした。
Ⅱ方法
1)対象:看護師長を除く看護師59名
2)調査方法:不眠患者への対応に関するアンケートを実施
アンケート内容:(1)不眠の評価方法(2)不眠患者に対するアプローチ方法(3)不眠患者に対して薬剤投与を行うタイミング(4)不眠患者のアプローチでのジレンマの有無(5)不眠患者に対するアプローチ方法で困っている事
(1)~(5)は選択式、さらに(2)(4)(5)については記述式とした
3)調査期間:平成30年1月21日から平成30年1月31日
4)分析方法:アンケート結果をKJ法でカテゴリー化した
Ⅲ倫理的配慮
アンケートは無記名とし、個人が特定できないものとした。また、回答をもって同意を得たものとした。得たデータは厳重に取り扱い、研究終了後は速やかに破棄するものとした。
Ⅳ結果
アンケート回収率は90%であった。(1)不眠の評価方法は、患者の訴えが50%、看護師の主観的評価が41%、何らかの評価スケールを用いているは4%、その他5%であった。
(2)不眠患者に対するアプローチで普段行っている事は、薬剤投与が30%、環境整備が29%、体位調整が24%、清潔ケアが9%、その他が8%であった。
(3)薬剤投与を行うタイミングは52の回答があり、<時間><患者の訴え><不穏・興奮・せん妄>の3カテゴリーに分類された。
(4)不眠患者のアプローチでジレンマが“ある”は72%、“ない”は26%、無回答2%であった。
また、ジレンマがあると答えた人の理由は67の回答があり、<薬効の遅延・薬剤関連><環境要因><その他>の3つのカテゴリーに分類された。
(5)不眠患者に対するアプローチ方法で困っている事が“ある”は53%、“ない”は43%であった。
Ⅴ考察
不眠患者のアプローチでジレンマを感じたことが“ある”は72%と多く、ジレンマの原因となっている内容の分析を行った。
<薬効の遅延、薬剤関連>に関して、薬剤投与を行うタイミングは、アンケート結果(3)より、内服時間を使用時間のリミットを決めているといった意見のような<内服時間を決めている>、<患者の訴えに合わせて>、<不穏・せん妄時>の3カテゴリーに分類された。
<環境要因>に関しては「時間をかけてあげたくてもできない」「寝られるようにカーテンを閉めて人の目を気にしないようにしてあげたいが、不穏患者や転倒・転落の恐れ、自傷行為のおそれのある患者にはしにくい」など救命救急センターの特性が関係する意見もあった。また、薬剤の知識や使用方法に個人差がある事も分かった。
アプローチ方法で困っている意見には、「自分の主観でしか考えていないので方法が正しいか悩むことがある」「何で睡眠を評価したらいいのか最善が分からない」「スタッフ間の認識の違い」「認知症患者の不眠対応がわからない」などがあり、知識習得が必要であると考えた。今後は勉強会を行い、ジレンマ解消への行動変容を起こすことができるようになることが課題である。
不眠に対する介入として、薬剤投与、安楽な体位調整、環境整備など様々な方法があるが、何を選択するかは看護師個人に任されている。薬剤投与で入眠できる患者もいるが、薬剤の効果の遷延により、日中の覚醒が悪く離床が遅れるなどの弊害に至っている現状があった。その背景には不眠に対する評価のばらつきや薬剤の知識や使用方法に個人差がある事が考えられ、その実態が看護師のジレンマに繋がっているという意見も聴かれた。
そこで、ICU・病棟に勤務する看護師に対して、不眠患者への介入についての調査を行い、問題点を明らかにすることとした。
Ⅱ方法
1)対象:看護師長を除く看護師59名
2)調査方法:不眠患者への対応に関するアンケートを実施
アンケート内容:(1)不眠の評価方法(2)不眠患者に対するアプローチ方法(3)不眠患者に対して薬剤投与を行うタイミング(4)不眠患者のアプローチでのジレンマの有無(5)不眠患者に対するアプローチ方法で困っている事
(1)~(5)は選択式、さらに(2)(4)(5)については記述式とした
3)調査期間:平成30年1月21日から平成30年1月31日
4)分析方法:アンケート結果をKJ法でカテゴリー化した
Ⅲ倫理的配慮
アンケートは無記名とし、個人が特定できないものとした。また、回答をもって同意を得たものとした。得たデータは厳重に取り扱い、研究終了後は速やかに破棄するものとした。
Ⅳ結果
アンケート回収率は90%であった。(1)不眠の評価方法は、患者の訴えが50%、看護師の主観的評価が41%、何らかの評価スケールを用いているは4%、その他5%であった。
(2)不眠患者に対するアプローチで普段行っている事は、薬剤投与が30%、環境整備が29%、体位調整が24%、清潔ケアが9%、その他が8%であった。
(3)薬剤投与を行うタイミングは52の回答があり、<時間><患者の訴え><不穏・興奮・せん妄>の3カテゴリーに分類された。
(4)不眠患者のアプローチでジレンマが“ある”は72%、“ない”は26%、無回答2%であった。
また、ジレンマがあると答えた人の理由は67の回答があり、<薬効の遅延・薬剤関連><環境要因><その他>の3つのカテゴリーに分類された。
(5)不眠患者に対するアプローチ方法で困っている事が“ある”は53%、“ない”は43%であった。
Ⅴ考察
不眠患者のアプローチでジレンマを感じたことが“ある”は72%と多く、ジレンマの原因となっている内容の分析を行った。
<薬効の遅延、薬剤関連>に関して、薬剤投与を行うタイミングは、アンケート結果(3)より、内服時間を使用時間のリミットを決めているといった意見のような<内服時間を決めている>、<患者の訴えに合わせて>、<不穏・せん妄時>の3カテゴリーに分類された。
<環境要因>に関しては「時間をかけてあげたくてもできない」「寝られるようにカーテンを閉めて人の目を気にしないようにしてあげたいが、不穏患者や転倒・転落の恐れ、自傷行為のおそれのある患者にはしにくい」など救命救急センターの特性が関係する意見もあった。また、薬剤の知識や使用方法に個人差がある事も分かった。
アプローチ方法で困っている意見には、「自分の主観でしか考えていないので方法が正しいか悩むことがある」「何で睡眠を評価したらいいのか最善が分からない」「スタッフ間の認識の違い」「認知症患者の不眠対応がわからない」などがあり、知識習得が必要であると考えた。今後は勉強会を行い、ジレンマ解消への行動変容を起こすことができるようになることが課題である。