第21回日本救急看護学会学術集会

講演情報

一般演題(ラウンドテーブルディスカッション (RTD))

教育

[RTD10] RTD(CN)10群 教育②

2019年10月5日(土) 13:30 〜 14:50 RTD会場 (2F 国際会議室)

座長:佐々木 雅史(東北医科薬科大学病院)

[RTD10-4] Rapid Response Systemコール対応後の病棟訪問指導の効果と課題

白橋 有人, 内山 美香 (鹿児島大学病院)

Rapid Response Systemコール対応後の病棟訪問指導の効果と課題

鹿児島大学病院 白橋 有人 内山 美香

Ⅰ.はじめに

Rapid Response System(以下RRS)、院内急変の発生を未然に防ぎ、コードブルーとなる前に適切な処置を行うための院内システムである。A病院では、2013年に救命救急センターが設立され、2015年よりRRSを導入したが、対象患者の状態が改善せず在院日数が延長するなどの問題が見えてきた。そこで、2017年から救急看護認定看護師と特定看護師によるRRSコール対応後の病棟訪問を開始し、患者ケアの実践やフィジカルアセスメントについて指導を行ってきた。訪問指導を通じて、病棟看護師が抱える悩みや、アセスメントの方法などについてディスカッションを行うことで訪問の効果と課題が見えてきたので報告をする。

Ⅱ.訪問期間2018年8月1日~2019年5月30日

対象:RRSコール対応後も一般病棟での入院が継続された患者89名に対し後日病棟訪問を行った56件

方法:RRSコール対応後2日目以降に救急看護認定看護師3名と特定看護師1名が病棟訪問を行った。

Ⅲ.訪問の実施

 RRSコール後の患者の現状を調査した結果、患者はDPC入院期間Ⅱを超え在院日数が他の患者と比べ明らかに長期化していたことや、RRSコール時の看護記録が86%であり、看護計画の追加修正は50%にとどまっていることが分かった。訪問時のルールとして①事前に訪問することを連絡する。②病棟看護師のケア実践を否定せず承認する。③患者訪問に病棟看護師を帯同する。④病棟看護師の悩みや不安と感じている事を確認する。⑤訪問者がアセスメントの記録をする。⑥訪問はRRSコール後2日目以降とした。訪問時間は事例によりさまざまであったが、30分以上になることはなかった。訪問対象患者89名に対し実際訪問ができたのは56件(56.3%)であった。RRSコール対応後訪問を実施開始してから、RRSコール時の経過記録は85.0%、看護計画追加修正は61%と改善した。病棟看護師からケア実践に関する質問や不安などから、医療器材の紹介や看護技術の指導も行った。さらに、救急カートの内容で不測の事態に備えができているかディスカッションを行った

Ⅳ.考察

病棟看護師のケアを承認し支持することや、繰り返し病棟訪問することで徐々に訪問活動を受け入れられたと考えられる。また、病棟看護師の悩みや不安を確認することで、医療器材の紹介や看護ケアをOJTで指導できたことは訪問者との関係を良好に保てた一因となった可能性がある。また、急変時の救急カートの物品について再考する機会を得ることができた。訪問終了後には救急看護認定看護師や特定看護師が記録を残すことで、アセスメントの方法や思考過程を学ぶ機会となったことも看護知識を高めることができたのではないかと考える。病棟訪問をRRS対応後2日目とした目的は、一般病棟看護師が主体となって看護計画の追加修正を行う時間を設けたかったためであるが、結果として病棟看護師が抱える悩みや不安に対し即時介入ができておらず、タイムリーな指導が行えなかった可能性があり、今後は組織横断的に迅速な介入が求められるのではないかと考える。

Ⅴ.まとめ

 RRSコール後の病棟訪問指導を行う効果と課題
看護ケアの質向上につながる可能性がある 病棟看護師の抱える不安の軽減となる可能性がある 認定看護師、特定看護師のアセスメントの方法を知る機会となりうる 救急カートの物品整備を行う機会となりうる RRS後の訪問は即時介入ができるように組織横断的な活動が推奨される