[RTD11-2] 大規模災害時における地域連携強化にむけた実践報告
1 はじめに
日本大学病院は千代田区唯一の大学病院で災害拠点ある。立地は,東京駅の近くにあり,大規模災害時の被害予想が,日中は12858人と想定され,集中的に患者が押し寄せる可能性を秘めている。そして,夜間は,協力機関の就業者もいなくなり,少ない医療従事者や物資を考慮しながら医療を行う。そのため,医療機関の連携が最重要課題と考える。千代田区は大規模に罹災した場合,日本大学病院は,緊急度の高い患者を中心に医療を行い,中軽症者は,千代田医師会,歯科医会,薬剤師会(以下三師会)などが中心に診療を行うことを区行政機関が定めている。
そこで,医療連携の強化を目的に,千代田区の歯科医師会に対し,日本大学病院の医療従事者らが協力し,災害医療の実技演習を行い,交流を深めると共に災害時における連携強化にむけた体制つくりの概要を報告する。
倫理的配慮
本発表に関連し,開示すべき利益相反はない。
2 実践内容
2014年10月に日本大学病院が移転し,大規模災害マニュアル等の作成に取り組む事になった。その際大規模災害ワーキンググループ(以後,ワーキンググループ)に参加した。ワーキンググループでは,災害マニュアルの作成と共にアクションカードの作成,訓練実施の事前準備,災害発生に備えた備蓄の構築や災害対策医療資器材の開発と備蓄,災害医療と災害看護についての教育等に一斉に取り組んだ。そして,毎月のワーキンググルールの集まりで報告会を行い,達成状況と問題となる事項を話し合った。
その中で,地域医療の連携についても検討された。その途中経過での2017年に日本大学歯学部医師より,千代田歯科医師会に対する災害講習会開催の依頼を受けて実施した。また,この活動から三師会の災害講習と実技演習に発展した。これらを毎年,それぞれ1回実施し,現在に至る。以下に講習会の一例をあげる。
2 目的
千代田区医療機関と連携を強化する。
3 講習概要
① 講師
医師,看護師,放射線技師,医学生等のDMAT隊員。
② 講習対象
千代田区歯科医院,歯科医52人
③ 講習開催時間
2019年2月19時30分から21時
4 実技演習方法
① 大規模災害の概要を講義
定義や災害時における保健所や医療機関との連携が重要である事と,中軽症を三師会が中心となり診療する事を説明した。
② START法の説明
効果的に緊急度判定ができるSTART法を選択し,生理学的評価を説明した。また,実際にトリアージカードで2名一組になり評価しあった。
③ START法の実技
計3回実施した。受講者を3グループに分け,2グループを模擬患者にし,1グループがSTART法でトリアージを行った。2回目は,実施途中に1グループが搬送する場面を行った。最後に2グループが模擬患者となるが,途中で搬出する場面を行い,優先順位を意識させ,プロセスを踏んだ模擬を行った。
5 考察
参加者は,千代田区内で開院している医師であり,それに連携した薬剤師や看護師等も聴講参加に繋がった。それは,参加者の時間的猶予に合わせ,業務終了時間を選択した事が功を奏したと考える。元来,地域に根ざし,医療貢献をしてきた医師らは,災害医療に関して大きな意義を感じていた。しかしながら,個人でどのように連携をとり,実施するのかを考えあぐねていた。そこに今回のような取り組みを行う事により地域とのつながりが生まれたと考える。
6 展望
2019年10月の大規模災害訓練では,軽症者ブースの立ち上げやシミュレーションを企画している。今までの訓練では,他病院の医療従事者らの参加がすくなかった。今後はこの活動をさらに広げ,地域との連携を深める事が重要である。
日本大学病院は千代田区唯一の大学病院で災害拠点ある。立地は,東京駅の近くにあり,大規模災害時の被害予想が,日中は12858人と想定され,集中的に患者が押し寄せる可能性を秘めている。そして,夜間は,協力機関の就業者もいなくなり,少ない医療従事者や物資を考慮しながら医療を行う。そのため,医療機関の連携が最重要課題と考える。千代田区は大規模に罹災した場合,日本大学病院は,緊急度の高い患者を中心に医療を行い,中軽症者は,千代田医師会,歯科医会,薬剤師会(以下三師会)などが中心に診療を行うことを区行政機関が定めている。
そこで,医療連携の強化を目的に,千代田区の歯科医師会に対し,日本大学病院の医療従事者らが協力し,災害医療の実技演習を行い,交流を深めると共に災害時における連携強化にむけた体制つくりの概要を報告する。
倫理的配慮
本発表に関連し,開示すべき利益相反はない。
2 実践内容
2014年10月に日本大学病院が移転し,大規模災害マニュアル等の作成に取り組む事になった。その際大規模災害ワーキンググループ(以後,ワーキンググループ)に参加した。ワーキンググループでは,災害マニュアルの作成と共にアクションカードの作成,訓練実施の事前準備,災害発生に備えた備蓄の構築や災害対策医療資器材の開発と備蓄,災害医療と災害看護についての教育等に一斉に取り組んだ。そして,毎月のワーキンググルールの集まりで報告会を行い,達成状況と問題となる事項を話し合った。
その中で,地域医療の連携についても検討された。その途中経過での2017年に日本大学歯学部医師より,千代田歯科医師会に対する災害講習会開催の依頼を受けて実施した。また,この活動から三師会の災害講習と実技演習に発展した。これらを毎年,それぞれ1回実施し,現在に至る。以下に講習会の一例をあげる。
2 目的
千代田区医療機関と連携を強化する。
3 講習概要
① 講師
医師,看護師,放射線技師,医学生等のDMAT隊員。
② 講習対象
千代田区歯科医院,歯科医52人
③ 講習開催時間
2019年2月19時30分から21時
4 実技演習方法
① 大規模災害の概要を講義
定義や災害時における保健所や医療機関との連携が重要である事と,中軽症を三師会が中心となり診療する事を説明した。
② START法の説明
効果的に緊急度判定ができるSTART法を選択し,生理学的評価を説明した。また,実際にトリアージカードで2名一組になり評価しあった。
③ START法の実技
計3回実施した。受講者を3グループに分け,2グループを模擬患者にし,1グループがSTART法でトリアージを行った。2回目は,実施途中に1グループが搬送する場面を行った。最後に2グループが模擬患者となるが,途中で搬出する場面を行い,優先順位を意識させ,プロセスを踏んだ模擬を行った。
5 考察
参加者は,千代田区内で開院している医師であり,それに連携した薬剤師や看護師等も聴講参加に繋がった。それは,参加者の時間的猶予に合わせ,業務終了時間を選択した事が功を奏したと考える。元来,地域に根ざし,医療貢献をしてきた医師らは,災害医療に関して大きな意義を感じていた。しかしながら,個人でどのように連携をとり,実施するのかを考えあぐねていた。そこに今回のような取り組みを行う事により地域とのつながりが生まれたと考える。
6 展望
2019年10月の大規模災害訓練では,軽症者ブースの立ち上げやシミュレーションを企画している。今までの訓練では,他病院の医療従事者らの参加がすくなかった。今後はこの活動をさらに広げ,地域との連携を深める事が重要である。