第21回日本救急看護学会学術集会

講演情報

一般演題(ラウンドテーブルディスカッション (RTD))

その他

[RTD12] RTD(CN)12群 その他②

2019年10月5日(土) 09:00 〜 10:20 RTD会場 (2F 国際会議室)

座長:石ヶ森 重之(日本医科大学多摩永山病院)

[RTD12-1] 地方におけるドクターカーの現状と今後の課題~認定看護師の関わりを通して~

坂本 聡, 谷口 友梨 (唐津赤十字病院救命救急センター)

【はじめに】

1991年より病院前救急診療の質の向上を目的としてドクターカーシステムの導入が開始され、全国の医療機関に次々と配備されるようになってきた。当院においても、新病院への移設を契機にドクターカー運用を開始している。当院は、佐賀県北部・西部医療圏の地域中核病院であり、病床数は304床(救命救急センター16床)で救急常勤医は3名と、マンパワーの少ない中でドクターカーを運用している。病院前救急診療における看護師の役割は様々であり、診療の補助や患者家族に対するケアのみならず、多職種との連携・調整役を担う必要がある。ドクターカー運用開始後3年しか経過しておらず、看護師同乗を開始してから半年ほどしか経過していない。ドクターカーで出動した際に、担当する看護師から知識や技術面などに関する不安の声も聴かれており、病院前救急診療においてどのような役割を担う必要があるのか十分に理解出来ていないまま出動している状況である。

【目的】

今回、当院における2016年から2019年のドクターカー出動症例を分析することで、現状把握と課題抽出を行い、地方におけるドクターカー運用の意義を明確にするとともに、ドクターカーに同乗する看護師に対し認定看護師としてどのような関わりを行う必要があるのかを検討する。

【方法】

ドクターカー運用開始の2016年8月から2019年3月までに出動要請があった全症例を抽出し、データを分析する。

【結果】
出動要請は2016年度14件、2017年度34件、2018年度37件であった。出動要請の内容に関しては、図1に示す。
【考察】

ドクターカー出動件数は、大規模都市などと比較すると圧倒的に少ない。地方においてドクターカーを効果的に運用していくには、ドクターカー稼働時間内に限られた時間と資源で1人でも救うことを目的に、救命できる可能性が高い重症例にのみ対応していく必要がある。そのためには、地域の救急隊やドクターヘリとの連携を密にし、ドクターカーが必要とされる症例を明確にしていく事が重要となる。適応症例に対しどのような救急医療が展開されるのかを予め予測することで、そこで必要とされる看護師の知識や技術を明確にすることが出来る。さらに事後検証などを迅速に行い、早期にスタッフ間で共有していく事で、ドクターカーに同乗する看護師の不安の軽減につながり、円滑なドクターカー事業の運営につながるのではないかと考える。

【COI開示】

演題発表に関連し、開示すべきCOI関係にある企業・組織および団体等はない。
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