第21回日本救急看護学会学術集会

講演情報

一般演題(ラウンドテーブルディスカッション (RTD))

特定医行為・地域連携

[RTD14] RTD(CN)14群 特定医行為・地域連携

2019年10月5日(土) 13:30 〜 14:50 RTD会場 (2F 国際会議室)

座長:川谷 陽子(愛知医科大学病院高度救命救急センター)

[RTD14-2] 離島のA病院における特定行為研修を修了した認定看護師としての活動

平武 晃幸 (長崎県病院企業団 長崎県対馬病院)

「実践の背景・目的」

超高齢化社会に直面している離島・僻地医療では、医師・看護師や多職種との協働・連携するチーム医療が重要となっている。その中でも救急認定看護師は救急看護のスペシャリストとして、救急領域で看護の質の向上を担う役割がある。私は2014年に救急看護認定看護師の資格を取得し、その後2017年3月に特定行為研修を修了し、救急領域の6区分15行為を医師の包括的指示の下、手順書に沿って施行できるようになった。現在はA病院の外来に所属し、救急外来を中心に院内で組織横断的に活動を行っている。今回、特定行為研修修了した認定看護師として呼吸器(人工呼吸療法に係るもの)関連と末梢留置型中心静脈カテーテル(PICC)の挿入に関しての活動を報告する。



「看護実践概要」

CASE1:呼吸器(人工呼吸療法に係るもの)関連

症例:肺炎の治療目的で経口挿管下人工呼吸器管理中。治療経過と共に酸素化は改善してきている。

CASE2:末梢留置型中心静脈カテーテル挿入

症例:肺炎にて治療中であるが血圧が不安定。末梢静脈路が確保されカテコラミンを高流量投与中。四肢浮腫に伴い、点滴漏れや皮下出血著明。認知症のため自己抜去防止のため両上肢抑制中。



「得られた結果」

CASE1:呼吸器(人工呼吸療法に係るもの)関連

患者のバイタルサインやフィジカルアセスメントから認定看護師として、呼吸器離脱に向けた調整が必要である判断する。しかし主治医へ報告すると外来対応中や手術中のため患者に長い時間寄り添うことは難しく、呼吸器離脱に向けた調整は翌日以降の予定とされた。しかし、特定行為研修修了後は呼吸器離脱に向けて動脈血液ガス分析を用いた科学的判断のもと、患者の状態を的確にアセスメントしながら、呼吸器の設定や薬剤の調整を手順書に沿ってタイムリーに実践できるようになった。それにより呼吸器離脱が以前と比べ早くなっている。

CASE2:末梢留置型中心静脈カテーテル挿入

PICCを挿入する目的は、高カロリー輸液の投与やカテコラミン等の投与を行うことが多い。特定行為研修修了した認定看護師としてフィジカルアセスメントや臨床推論を用いて患者に最も適した選択や判断が必要となる。特定行為でPICCを挿入することで、医師や看護師の業務が軽減できている。何よりPICCに対する不安や疑問を抱える患者にとって長い時間寄り添うことのできる看護師が挿入から管理、相談まで一貫して行うことは、不安の軽減につながり、信頼関係を構築することができている。そのため、患者は日常生活に支障なく、栄養状態が改善し日常生活に支障がなく経過した。



「今後の課題」

特定行為研修修了している認定看護師として特定行為が主体になるのではなく、認定看護師の専門性とアセスメント力を活かし、フィジカルアセスメントと臨床推論を用いて特定行為を含むタイムリーな対応で、質の高い医療・看護を効率的に提供する必要があると考える。また、医学的視点と看護学的視点を融合した新しい役割の中から、さらに離島・僻地におけるチーム医療が円滑に行えるように支援していくことが今後の課題である。