[RTD2-1] 当院における呼吸ケアサポートチームの活動について ~救急看護認定看護師としての役割~
【はじめに】
近年、多職種が連携したチーム医療が重視されてきているなか、当院では平成22年度より呼吸ケアサポートチーム(以下、RSTとする。)を立ち上げ院内ラウンドを実施してきた。RSTのメンバーにはこれまでは看護師は集中ケア認定看護師や慢性呼吸器疾患看護認定看護師がその役割を担っていたが、平成30年6月より新たに救急看護認定看護師がメンバーに加わることとなった。救急看護認定看護師活動の一つとして行ったRST活動について、その役割と今後の課題について報告する。
【活動内容】
毎週一回金曜日の13時からICU/HCU、一般病棟において人工呼吸器を装着している患者、または人工呼吸器離脱後間もない患者を対象にラウンドを実施している。メンバーは医師(麻酔科、呼吸器内科、総合内科、歯科口腔外科)、認定看護師(集中ケア、救急看護、慢性呼吸器疾患看護)、臨床工学技士、理学療法士、歯科衛生士で構成され、ラウンド時には可能であれば病棟の担当看護師も同席している。ラウンド以外では毎月1回定例会を開催しミーティングを行っている。
【結果】平成30年6月から令和元年5月までの1年間のラウンド実施件数は279件、そのうち一般病棟へのラウンドは162件であった。ラウンド患者総数は75人であり、そのうち加算対象者は20人であった。人工呼吸器離脱に至った患者は6人であった。患者の診療科別で上位3診療科は心臓血管外科16人、救命救急科13人、循環器内科11人であった。状態悪化し一般病棟からICU/HCUへ入室した患者は3人であった。病棟看護師からの相談内容で多いのは、チューブの固定に関すること、気道分泌物に関すること、口腔ケアに関することであった。
【考察】
ラウンドを行った患者数に対してRST加算対象者数が少ないのは、ラウンド対象患者が人工呼吸器離脱を目標とする急性期患者だけでなく、中・長期的に人工呼吸器管理を必要としている患者も対象としているからである。一般病棟における加算対象外の患者の多くは個室で入院管理されていることが多く、急変する可能性の高いハイリスク患者であることがいえる。そのためラウンド時は人工呼吸器の安全管理や呼吸状態だけでなく、循環動態や意識レベルなど幅広い視点を持って患者のアセスメントを行い、急変の早期発見や予測をする必要があると考える。そしてそれは患者の異常を察知し、緊急度や重症度を迅速かつ的確に判断する能力が求められる救急看護認定看護師の重要な役割の一つである。対象患者の多くは緊急入院となった患者であり、救急外来で気管挿管されICU/HCUへ入院管理されている。救急外来での気管挿管時の状況(患者の病態や嘔吐・出血等による口腔内汚染の状態や意思決定の有無等)は早期人工呼吸器離脱を目的とするためにも重要な情報である。ラウンド時にチームメンバーに救急外来での状況を共有することで、ラウンド時の一場面だけでなく経時的に患者をアセスメントしていくことに繋がると考える。また、人工呼吸器管理を行うも予後の厳しい救急・集中治療領域における終末期の患者も対象としており、患者だけでなく家族に対するケアを行うことも重要である。そのため家族の抱える問題点やニードを明確化し、担当看護師へ助言を行っていくことも必要である。今後の課題として、人工呼吸器装着患者の急変を予測するためのフィジカルアセスメント、急変時の対応についての学習会の開催を検討する必要がある。前述するハイリスク患者のスクリーニングを目的としたラウンドでは、RST活動の週一回では不十分であり、今後さらなる検討が必要である。
近年、多職種が連携したチーム医療が重視されてきているなか、当院では平成22年度より呼吸ケアサポートチーム(以下、RSTとする。)を立ち上げ院内ラウンドを実施してきた。RSTのメンバーにはこれまでは看護師は集中ケア認定看護師や慢性呼吸器疾患看護認定看護師がその役割を担っていたが、平成30年6月より新たに救急看護認定看護師がメンバーに加わることとなった。救急看護認定看護師活動の一つとして行ったRST活動について、その役割と今後の課題について報告する。
【活動内容】
毎週一回金曜日の13時からICU/HCU、一般病棟において人工呼吸器を装着している患者、または人工呼吸器離脱後間もない患者を対象にラウンドを実施している。メンバーは医師(麻酔科、呼吸器内科、総合内科、歯科口腔外科)、認定看護師(集中ケア、救急看護、慢性呼吸器疾患看護)、臨床工学技士、理学療法士、歯科衛生士で構成され、ラウンド時には可能であれば病棟の担当看護師も同席している。ラウンド以外では毎月1回定例会を開催しミーティングを行っている。
【結果】平成30年6月から令和元年5月までの1年間のラウンド実施件数は279件、そのうち一般病棟へのラウンドは162件であった。ラウンド患者総数は75人であり、そのうち加算対象者は20人であった。人工呼吸器離脱に至った患者は6人であった。患者の診療科別で上位3診療科は心臓血管外科16人、救命救急科13人、循環器内科11人であった。状態悪化し一般病棟からICU/HCUへ入室した患者は3人であった。病棟看護師からの相談内容で多いのは、チューブの固定に関すること、気道分泌物に関すること、口腔ケアに関することであった。
【考察】
ラウンドを行った患者数に対してRST加算対象者数が少ないのは、ラウンド対象患者が人工呼吸器離脱を目標とする急性期患者だけでなく、中・長期的に人工呼吸器管理を必要としている患者も対象としているからである。一般病棟における加算対象外の患者の多くは個室で入院管理されていることが多く、急変する可能性の高いハイリスク患者であることがいえる。そのためラウンド時は人工呼吸器の安全管理や呼吸状態だけでなく、循環動態や意識レベルなど幅広い視点を持って患者のアセスメントを行い、急変の早期発見や予測をする必要があると考える。そしてそれは患者の異常を察知し、緊急度や重症度を迅速かつ的確に判断する能力が求められる救急看護認定看護師の重要な役割の一つである。対象患者の多くは緊急入院となった患者であり、救急外来で気管挿管されICU/HCUへ入院管理されている。救急外来での気管挿管時の状況(患者の病態や嘔吐・出血等による口腔内汚染の状態や意思決定の有無等)は早期人工呼吸器離脱を目的とするためにも重要な情報である。ラウンド時にチームメンバーに救急外来での状況を共有することで、ラウンド時の一場面だけでなく経時的に患者をアセスメントしていくことに繋がると考える。また、人工呼吸器管理を行うも予後の厳しい救急・集中治療領域における終末期の患者も対象としており、患者だけでなく家族に対するケアを行うことも重要である。そのため家族の抱える問題点やニードを明確化し、担当看護師へ助言を行っていくことも必要である。今後の課題として、人工呼吸器装着患者の急変を予測するためのフィジカルアセスメント、急変時の対応についての学習会の開催を検討する必要がある。前述するハイリスク患者のスクリーニングを目的としたラウンドでは、RST活動の週一回では不十分であり、今後さらなる検討が必要である。