第21回日本救急看護学会学術集会

講演情報

一般演題(ラウンドテーブルディスカッション (RTD))

RRS

[RTD6] RTD(CN)6群 RRS

2019年10月4日(金) 14:10 〜 15:30 RTD会場 (2F 国際会議室)

座長:丹羽 由美子(愛知医科大学病院)

[RTD6-1] RRS導入に向けた救急看護認定看護師としての取り組みと今後の課題

坂田 司 (徳島赤十字病院)

はじめに

2008年に提案された医療安全全国共同行動の行動目標において、Rapid Response System(以下RRS)の確立が挙げられ、予期せぬ死亡を減少させる取り組みが全国的に広がりつつある。A病院は平均在院日数8.3日(2018年度)の高度救命救急センターを有する急性期病院である。以前より急変時の迅速対応としてコードブルー体制をとってきたが、さらなる急変時対応の強化を行う必要性があると考え、2018年12月より平日日勤帯のRRSを導入した。導入にあたってシステムの構築に関わったので報告する

導入の背景

導入にあたって急変対応の現状調査をする目的でアンケート調査を行った。看護師542名にアンケート用紙を配布し、401件の回答が得られた。急変時ドクターコールをする際に困ったことがあるかという問いに対して77%の看護師が困ったことがあると回答した。困った理由として「外来中」「手術中」「処置中」など、コールをしても物理的に対応困難な状況が全体の56%を占めていた。一方で起動時の問題として「本当に急変かどうかの判断ができない」という回答も13%あり、急変の認知と異常に対してのスムーズな対応ができるシステム構築が必要であると考え、RRS導入に向けて取り組むこととした。

活動の実際

医師、看護師、事務によるワーキンググループを立ち上げたのちに、RRSの構成要素である①患者の状態悪化を発見する要素、②状態悪化に対応するチームの要素、③事象の分析を行う要素、④システムの設置運営を行う要素の4点に着目しながら導入に向けた事前準備を行った。

 最も重要視したのは①患者の状態悪化を発見する要素である。多くの場合看護師がRRSを起動するため、全看護師対象にRRSについての勉強会を勤務時間内に3回実施した。また起動の垣根を低くするため、起動する場合はRRS担当看護師に連絡する体制とした。さらに異常の早期発見のため、院内の救急看護認定看護師3名が各病棟でシミュレーション教育を実施した。

 最も調整に難渋した要素が②状態悪化に対応するチームの要素である。医師を対象にRRS導入に関するアンケートを行った結果、RRS導入への期待がある一方でマンパワー不足による自科対応困難という意見があった。しかしRRSは特定の科のみが実施している事業ではなく、病院全体として取り組んでいることである。したがって各科にヒアリングを行い、委員会で合意形成を行った。結果的には救急科以外にも内科・外科などは自科対応という形をとったが、現場の看護師が起動時に混乱しないため、すべての起動をRRS担当看護師が受けることとした。

今後の課題

 起動時の対応をRRS担当看護師が行うことでスムーズな起動に結びついている。しかし起動事例を振り返るとさらに早期に起動が行えた事例がある。したがって起動の精度向上のため、病棟での振り返り及びシミュレーションの実施を強化する必要がある。