第21回日本救急看護学会学術集会

講演情報

一般演題(ラウンドテーブルディスカッション (RTD))

看護教育

[RTD7] RTD7群 看護教育

2019年10月4日(金) 15:50 〜 17:00 RTD会場 (2F 国際会議室)

座長:樅山 定美(医療創生大学)

[RTD7-2] 救急分野における中堅看護師の育成をめざして -救急新聞発行による院内広報の効果-

豊田 麻衣, 山路 修平 (富山市立富山市民病院)

Ⅰ.研究目的
 A病院では、各分野を専門としたエキスパートナース(認定看護師を含む総称)制度を設けており、平成29年度現在21分野、69人が院内の審査ののちに認定を受けエキスパートナースとして活動している。その中で、救急看護エキスパートナースは8人であり一番多い。救急看護エキスパートナースが担う活動は、各講習についてのアナウンス、受講の促進、受講者のための事前練習等、多岐にわたる。このためエキスパートナース未認定の救急分野へ興味のある看護師に声をかけ活動に参加してもらっている現状がある。これらを踏まえ救急看護活動の周知や研修等の広報を目的として、2015年より救急新聞を作成し発行している。掲載内容は、活動報告や活動結果・研修のお知らせ等とし院内LANにて全職員宛てに配信している。今回、研究は救急新聞発行の有用性と課題の抽出を目的とした。
Ⅱ.研究方法
 A病院の病棟正規職員看護師318人を対象としアンケート調査を行った。得られ結果に対し単純集計を行なった。調査期間期間は平成30年8月1日~8月30日とした。倫理的配慮は、A病院の看護研究倫理審査委員会の倫理審査への許可を得、研究を開始した。研究対象者には、文章で研究目的・方法・研究参加拒否および途中辞退の自由、データの匿名性の守秘、結果は学術的に公開し、今後の救急看護活動へ還元される旨を説明し、同意を得た。また、演題発表に関連し、開示すべきCOI関係にある企業・組織及び団体はないとする。
Ⅲ.結果、考察
 アンケート回収率は、300人、94.6%。有効回答率は、272人、90.7%だった。個人的に院内LANを閲覧しているスタッフは、半数以上であり、院内LANによる救急新聞の配信方法は、閲覧者にキャッチしてもらえるきっかけになり、有効であると考えられた。しかし、救急新聞の認知状況は35%に留まっており、院内LANを閲覧しない限り、救急新聞の存在が認知されないことが問題の一つである。新聞とは別に救急関連領域の研修参加状況についての質問では、80%が何らかの研修に参加していた。参加率の高い項目は、災害訓練、ICLS・ACLS、トリアージ研修、CAコール訓練の順で群を抜いていた。A病院の経験年数別割合では、6~10年目層が一番多く、研修参加状況でも同様の結果であった。
 今回、6~10年目看護師を中堅看護師と定義づけ研究を行った結果、救急分野に興味を持ってもらえるような研修内容の見直しと構築が、後継者育成に繋がると考えられる。また、救急新聞の認知状況を向上させる配信方法の再考が必要であるとわかった。