第21回日本救急看護学会学術集会

講演情報

シンポジウム

[SY3] 救急看護師がACPに関わる意義

2019年10月4日(金) 15:30 〜 17:20 第6会場 (3F 中会議室303)

座長:山勢 善江(前 日本赤十字九州国際看護大学), 立野 淳子(小倉記念病院)

[SY3-4] 救急看護師がACPに係わる意義~救急救命士の立場から

鈴木 明人 (民間救急・介護タクシーすまいる)

人口の高齢化で高齢者の救急需要が拡大する中、救急搬送時に家族から傷病者(患者)本人の心肺蘇生拒否の意思を伝えられ、現場対応に苦慮する事態が発生している。令和元年の総務省消防庁救急業務のあり方に関する検討会によれば、全国の消防本部(728)のうち、8割以上の消防本部がこうした事案に遭遇している。心肺蘇生拒否の意思表示を伝えられたときの対応方針をあらかじめ定めている消防本部は全体の約45%。その対応方針の内容は、「心肺蘇生拒否の意思表示を伝えられても心肺蘇生をしながら医療機関に搬送する」という消防本部が過半数を占め、その理由として、「応急処置を行いながら医療機関に傷病者を搬送することが、救急隊の責務だから」「法令上、心肺蘇生の不実施や、中止はできないと考えられるから」「救急現場で傷病者本人の意思の確認を確実に行うことは難しいから」との回答が多かった。そうした現状の中で、総務省消防庁の部会では「蘇生拒否」の現場対応に関し、現段階での統一方針の策定は困難と決定し、全国統一ルールの検討は見送られた。
このような病院前救護の現状を踏まえ、救急看護師がACPに係わる意義についてみなさまと検討したい。