第21回日本救急看護学会学術集会

Presentation information

シンポジウム

[SY7] 【日本臨床救急医学会共催】電話相談と危機管理ー見えない病態を判断する

Sat. Oct 5, 2019 2:40 PM - 4:30 PM 第4会場 (3F 中会議室301)

座長:櫻井 淳(日本大学医学部 救急医学系 救急集中治療医学分野), 伊藤 雪絵(奈良県立医科大学附属病院 生命倫理監理室)

[SY7-5] 電話相談に必要なトリアージ要素

横田 由佳 (杏林大学医学部付属病院)

東京消防庁救急相談センターに関する文献によると「電話救急医療相談」とは電話を介して相談者の傷病の緊急度を判断し、それに見合った口頭指示までを含める医療情報(医療機関案内、受診科目選定、救急車を含めた搬送手段への助言、口頭による応急処置など)を提供する事業を指す。トリアージとは患者の評価と緊急度を判断し、治療の優先順位づけを行う過程であり、電話相談にはトリアージの要素が含まれている。

院内トリアージの緊急度を判断するプロセスは、①第一印象の重症感の評価⓶感染性疾患のスクリーニング③来院時症候の確認④自覚症状の問診と評価⓹バイタルサインの評価⓺他覚所見の評価⓻指標を用いて緊急度判定⑧再評価で構成される。このプロセスは患者を目視しながら問診、観察を行う。電話相談では、患者を目視することはできないので、患者、または、電話に対応している人の音声を通じて緊急度を判断するために必要なキーワードを判断し、問診することになる。

総務省消防庁の「緊急度判定プロトコルVer.2電話相談」は医療従事者が電話を介して緊急度や提供する情報を標準化したものである。電話相談においても、院内トリアージと同様に、緊急度の判断や医療相談を支援するシステムが必要である。プロトコルのアルゴリズムは、①心肺停止と関連するキーワードの聴取⓶バイタルサインに関わる質問③主訴別の質問、があり、緊急性の高い症状に関わる項目から質問する構成となっている。プロトコルを適切に活用するために、あるいは、アルゴリズムから逸脱した場合に、自由回答形式の質問と選択回答式の質問をどのように使い分けて問診するのかという能力や、聴取した情報を体系化して総合的に緊急度を判断するということが必要なトリアージ要素であると考えられる。