[SY8] 命の危険回避への取り組み―多様な立場からの急変前兆候対応への提案―

[SY8-1] 多様な医療施設への活用における展望と課題～急変前兆候を見逃さない思考の作り方～

^○清水 克彦 (独立行政法人 国立病院機構京都医療センター)

近年様々な医療機関ではRapid Response System（RRS）を導入して、早期から急変患者を「認知」して集中治療室などで治療し心停止まで至らせない取り組みが盛んに行われ、予期せぬ院内心停止の減少に効果を見せている。

　しかしRRSの効果を理解して導入したいがマンパワー不足の問題により、それらのシステムを導入できずに断念している施設も沢山ある。そのようなマンパワー不足によりシステムが導入できない施設でも導入できている施設と同様に、早期に急変前兆候を捉え予期せぬ院内心停止を減少させる取り組みを考えなければならない。

　またその一方でRRSを導入されている施設やシステムを立ち上げるためのearly warning signs（EWS）といわれるバイタルサインを中心としたシステムの立ち上げ基準があったとしても、実際には病棟で見過ごされているケースは少なくないという。つまりRRSを使用するスタッフの力量によりRRSの効果を十分に発揮できていないと考える。

　そのために今回一つの取り組みとして、２４時間患者のそばにいる看護師の観察、臨床推論能力を向上させ、早期に患者の急変前兆候を見過ごさない「認知」の部分に重点化した取り組みが有用ではないかと考えシンポジウムで提案したい。