第21回日本救急看護学会学術集会

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ワークショップ

[WS2] チーム医療の成果評価 クラウド型サーベイで多職種協働風土の程度、問題を可視化する

2019年10月5日(土) 13:30 〜 14:50 第7会場 (3F 中会議室304)

司会:藤谷 克己(文京学院大学)

[WS2-2] AITCS-II-Jを用いてクラウド型サーベイで多職種連携恊働(チーム医療)風土の程度、問題を可視化する

松下 博宣 (学校法人 東京農業大学 東京情報大学)

Assessment of Interprofessional Team collaboration Scale(AITCS)とは、多職種連携協働の程度や問題点を浮き彫りにするスケールである。AITCSは英語圏のみならず、ドイツ語、スペイン語、ポルトガル語、フランス語、スウェーデン語、イタリア語等の多言語に翻訳されて使用されている。近年では、開発者のDr. Orchardが短縮版の AITCS-IIをデザインしている。
本研究チームでは科研費 (19K10491)の助成を受けてDr. Orchardらと連携してAITCS-II を日本語化した。AITCS-II-J(日本語版)を「多職種連携協働風土サーベイ」の一部として組み込み、複数の医療機関の多職種連携協働(チーム医療)を診断している。このサーベイの特徴は:

(1)高い信頼性
各国の研究において、クロンバックα値0.91~0.95という高い信頼性が立証されている。我々の研究でも高い信頼性が実証されている。
(2)クラウドベースのスケール
我々の研究グループでは、質問票をすべてクラウド環境に格納して運用している。調査参加者は、スマートフォン、タブレット、PCでサーベイサイトにアクセスして回答する。これにより、高度のデータ秘匿性と個人情報の保護レベルを維持しつつ、質問票作成、配布、データ回収、データ生成、分析を、紙面による調査と比べ迅速にかつ効率的に実施できるようになった。
(3)多職種連携協働の阻害要因、促進要因を明らかにできる
自由コメントスペースに従業員の忌憚のないナマの声を書いてもらう。独自のテキストマイニング手法を用いて、組織風土の奥底に内在する多職種連携協働の阻害要因、促進要因を明らかにする。
(4)多職種連携協働のカギである3要因ごとの特徴を明らかにできる
パートナーシップ、協力、調整といった多職種連携協働のカギである3要因を中心に詳細を分析することができる。曖昧模糊とした定性分析ではなく、明確な数値として「見える化」できるのが、本サーベイの強みである。
(5)職種ごと、部門ごと、クリニカルラダーごとの課題を明確化できる。
さらに、職種、部門などの属性を医療機関のニーズに従って自由に設計できるので、ハンドメードの分析が可能である。
(6)グローバル対応
従来の和製スケールは、日本の内側に閉じていて国際性がない。本スケールは、英語圏のカナダ、米国、英国はもとより、イタリア、スウェーデンなどとも科学的な比較ができる。つまり、グローバルな視点から各国の多職種連携協働の比較ができるのである。

このワークショップでは来場者にQRコードを配布して、実際に多職種連携協働風土サーベイの一端に触れてもらい、リアルに体験していただく。
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