[O1-03] 自動心肺蘇生器により有害事象が発生した患者の家族に対する救急外来看護師の思いと看護の実際
Keywords:救急外来、自動心肺蘇生器、有害事象、グリーフケア
【目的】
A病院救急外来では、年間約70名の心肺停止患者を受け入れている。その身体には自動心肺蘇生器による表皮剥離、水疱形成、皮膚発赤等の有害事象を発生していることが多い。有害事象は家族にとって思いがけない事柄であり、目の当たりにした家族の動揺は計り知れない。これまでの症例を振り返ると、有害事象の内容やそれに対する処置および家族の反応などの詳細な看護記録がなかった。また、家族への説明や対応などの記録がなく、看護の実際が具現化されていないため、看護の振り返りや共有が十分にできていなかった。そこで、自動心肺蘇生器により有害事象が発生した患者の家族に対する救急外来看護師の思いと看護の実際を明らかにすることを目的とした。
【方法】
期間:2019年2月~2019年7月。
対象:A病院救急外来において、心肺停止患者の家族対応経験のある看護師25名。
データ収集方法:臨床経験・救急外来経験年数を考慮した4~5名のグループに対し、インタビューガイドを用いて、半構造的面接を行った。
分析方法:対象者の述べたありのままの言葉から逐語録を作成し、類似する言葉をサブカテゴリにまとめ、カテゴリ化した。
【倫理的な配慮】
A病院の倫理審査委員会の承認を得た。
【結果】
看護師の思いは71のコードから、15のサブカテゴリが抽出された。さらに5つのカテゴリとして《救命処置と有害事象を経験した家族の気持ちを知りたい》《家族が有害事象を受容できるよう関わりたい》《有害事象で更に家族を傷つけたくない》《有害事象に対する看護師独自の役割を果たしたい》《救急隊や看護師間で情報を共有し、より良い家族看護を行いたい》に分類された。看護の実際は37のコードから、12のサブカテゴリが抽出され、更に4つのカテゴリとして《家族に寄り添い、死の受容を支援する》《有害事象について、家族が受容できるように説明する》《有害事象により、家族の心理的ストレスが増大しないように関わる》《患者と家族のために、有害事象の処置を考え工夫する》に分類された。
【考察】
看護師はまず、家族に寄り添い、死の受容を支援するという家族看護を実践していた。潜在化している思いに対して、傾聴と共感により信頼関係を形成し、その思いや気持ちの表出を促すように関わり、家族の精神状態をアセスメントしていくことが必要である。また、有害事象は目に見える侵襲の痕として痛々しく残るため、悲嘆を増強させる要因となり得る。看護師は有害事象を目の当たりにしないように配慮するなど、家族の心理的ストレスが増大しないように関わっていた。救命処置とともに早期から有害事象を受容できるよう関わり、悲嘆を増強させないケアが求められる。そして、有害事象が家族の喪失感や悲嘆を助長させないよう、有害事象を受容できるよう説明することは重要なケアの一つと考えられる。
看護師は救急隊と情報を共有し、搬送時からの情報をもとに継続看護を行い、より良い家族看護を行いたいと考えていた。カンファレンスなどでケアを振り返り、看護師の経験知を上げ、スキルアップしていくことが必要だと感じていた。家族の反応を共有し、家族の捉え方を学習して、患者家族を尊重したより良い関わりを検討していく必要がある。
【まとめ】
危機的状況にある家族に対するより良い家族看護を行いたいという思いと、グリーフケアの実践を可視化することができた。
A病院救急外来では、年間約70名の心肺停止患者を受け入れている。その身体には自動心肺蘇生器による表皮剥離、水疱形成、皮膚発赤等の有害事象を発生していることが多い。有害事象は家族にとって思いがけない事柄であり、目の当たりにした家族の動揺は計り知れない。これまでの症例を振り返ると、有害事象の内容やそれに対する処置および家族の反応などの詳細な看護記録がなかった。また、家族への説明や対応などの記録がなく、看護の実際が具現化されていないため、看護の振り返りや共有が十分にできていなかった。そこで、自動心肺蘇生器により有害事象が発生した患者の家族に対する救急外来看護師の思いと看護の実際を明らかにすることを目的とした。
【方法】
期間:2019年2月~2019年7月。
対象:A病院救急外来において、心肺停止患者の家族対応経験のある看護師25名。
データ収集方法:臨床経験・救急外来経験年数を考慮した4~5名のグループに対し、インタビューガイドを用いて、半構造的面接を行った。
分析方法:対象者の述べたありのままの言葉から逐語録を作成し、類似する言葉をサブカテゴリにまとめ、カテゴリ化した。
【倫理的な配慮】
A病院の倫理審査委員会の承認を得た。
【結果】
看護師の思いは71のコードから、15のサブカテゴリが抽出された。さらに5つのカテゴリとして《救命処置と有害事象を経験した家族の気持ちを知りたい》《家族が有害事象を受容できるよう関わりたい》《有害事象で更に家族を傷つけたくない》《有害事象に対する看護師独自の役割を果たしたい》《救急隊や看護師間で情報を共有し、より良い家族看護を行いたい》に分類された。看護の実際は37のコードから、12のサブカテゴリが抽出され、更に4つのカテゴリとして《家族に寄り添い、死の受容を支援する》《有害事象について、家族が受容できるように説明する》《有害事象により、家族の心理的ストレスが増大しないように関わる》《患者と家族のために、有害事象の処置を考え工夫する》に分類された。
【考察】
看護師はまず、家族に寄り添い、死の受容を支援するという家族看護を実践していた。潜在化している思いに対して、傾聴と共感により信頼関係を形成し、その思いや気持ちの表出を促すように関わり、家族の精神状態をアセスメントしていくことが必要である。また、有害事象は目に見える侵襲の痕として痛々しく残るため、悲嘆を増強させる要因となり得る。看護師は有害事象を目の当たりにしないように配慮するなど、家族の心理的ストレスが増大しないように関わっていた。救命処置とともに早期から有害事象を受容できるよう関わり、悲嘆を増強させないケアが求められる。そして、有害事象が家族の喪失感や悲嘆を助長させないよう、有害事象を受容できるよう説明することは重要なケアの一つと考えられる。
看護師は救急隊と情報を共有し、搬送時からの情報をもとに継続看護を行い、より良い家族看護を行いたいと考えていた。カンファレンスなどでケアを振り返り、看護師の経験知を上げ、スキルアップしていくことが必要だと感じていた。家族の反応を共有し、家族の捉え方を学習して、患者家族を尊重したより良い関わりを検討していく必要がある。
【まとめ】
危機的状況にある家族に対するより良い家族看護を行いたいという思いと、グリーフケアの実践を可視化することができた。