[O15-01] 救急病棟における病棟看護師が新配属者へ影響を与えた関わり
キーワード:救急病棟、異動、病棟看護師、新配属者
<目的>
A病院の救急病棟は小児科・産科を除く全ての診療科の患者に対応し、そこで働く看護師は、幅広い知識と技術を持ち、緊急度・重症度の判断を迅速に行う事が求められる。先行研究では、救急病棟看護師は、一般病棟看護師に比べストレス値が高いことが明らかにされている。異動により救急病棟に新たに配属された看護師(以下、新配属者)は、厚生労働省が行った職場環境の強いストレス上位3項目である①仕事の質・量②仕事の失敗・責任の発生③対人関係に同時に直面する。元々救急病棟に勤務している看護師(以下、病棟看護師)は、煩雑化する業務の中、新配属者が直面しているストレスに対し、配慮や支援が十分に行えていないと感じていた。そこで、病棟看護師が新配属者へ影響を与えた関わりを明らかにし、職場風土の改善の一助とする。
<方法>
1.研究デザイン:質的記述的研究
2.データ収集期間:2019年9月~10月
3.対象者:初めて救急領域に携わる、救急病棟配属年数が3年未満且つ研究の同意が得られた看護師12名
4.データ収集方法:対象者を無作為に3~4名ずつ4グループに分け、非構造化インタビューを実施。配属後1年以内に病棟看護師との関わりで感じた事を自由に発言してもらった。インタビューは同意を得てICレコーダーに録音した。
5.データ分析方法:録音したインタビューから逐語録を作成。コード化したものを、院内の研究指導者の指導の下、カテゴリー分類を行った。
<倫理的配慮>
A病院看護研究倫理審査会で承認を得た後、研究対象者に研究の目的・方法・意義について口頭と書面で説明し署名、捺印を以て同意とした。
<結果>
対象者の概要:平均年齢は33.8歳、平均看護師経験年数は12~13年であり、前勤務場所ではリーダーシップ役割を果たし、後輩指導にも従事していた。
27のコード、10のサブカテゴリーより、「目標と現実との葛藤を感じさせる関わり」、「萎縮してしまう指導・指摘」、「努力や考えを受け入れてもらえないと感じさせる関わり」の3つの負のカテゴリーと、「病棟の一員であるという意識を高める関わり」、「救急病棟看護師としての成長の手助けとなる関わり」の2つの正のカテゴリーに分類できた。
<考察>
経験を積んできた看護師でも、未経験の診療科患者に携わる際、実践レベルは初心者の段階であると言われている。経験年数だけでできるだろうと判断する声掛けや対応は、能力以上の評価をされていると感じさせ、重圧に繋がる事が考えられる。更に、異動により不慣れであるが故に、自分にだけ強い口調だと感じる指導や、病棟独自のルールの押し付け、結果のみを重視した指導・指摘は、新配属者を萎縮させ、努力や考えを受け入れてもらえないと感じさせる。その関わりは自尊心の低下や自信喪失を招き、新配属者のストレスを増長させることに繋がる。病棟看護師は、自己の指導について振り返ると共に、相手を理解し受容しようと努力する事が大切であると考える。
また、多くの診療科に携わる救急病棟で、病棟看護師の知識・経験に基づいた指導や、新配属者の新たな人間関係構築の仲介役となる関わりは、より良い看護に繋げる為の学びとして受け入れられ、成長の一助となる。病棟看護師が自分の考えや行動に対し理解しようとしてくれる姿勢や、「ありがとう」などのたった一言であっても、感謝や承認を表す声掛けは、病棟の一員であるという意識を高め、自己効力感の向上と、ストレスの軽減に繋がると考える。
今後、救急病棟という、これまでと大きく異なった環境で働く新配属者に寄り添えるよう、病棟看護師の意識改善を行っていく必要がある。
A病院の救急病棟は小児科・産科を除く全ての診療科の患者に対応し、そこで働く看護師は、幅広い知識と技術を持ち、緊急度・重症度の判断を迅速に行う事が求められる。先行研究では、救急病棟看護師は、一般病棟看護師に比べストレス値が高いことが明らかにされている。異動により救急病棟に新たに配属された看護師(以下、新配属者)は、厚生労働省が行った職場環境の強いストレス上位3項目である①仕事の質・量②仕事の失敗・責任の発生③対人関係に同時に直面する。元々救急病棟に勤務している看護師(以下、病棟看護師)は、煩雑化する業務の中、新配属者が直面しているストレスに対し、配慮や支援が十分に行えていないと感じていた。そこで、病棟看護師が新配属者へ影響を与えた関わりを明らかにし、職場風土の改善の一助とする。
<方法>
1.研究デザイン:質的記述的研究
2.データ収集期間:2019年9月~10月
3.対象者:初めて救急領域に携わる、救急病棟配属年数が3年未満且つ研究の同意が得られた看護師12名
4.データ収集方法:対象者を無作為に3~4名ずつ4グループに分け、非構造化インタビューを実施。配属後1年以内に病棟看護師との関わりで感じた事を自由に発言してもらった。インタビューは同意を得てICレコーダーに録音した。
5.データ分析方法:録音したインタビューから逐語録を作成。コード化したものを、院内の研究指導者の指導の下、カテゴリー分類を行った。
<倫理的配慮>
A病院看護研究倫理審査会で承認を得た後、研究対象者に研究の目的・方法・意義について口頭と書面で説明し署名、捺印を以て同意とした。
<結果>
対象者の概要:平均年齢は33.8歳、平均看護師経験年数は12~13年であり、前勤務場所ではリーダーシップ役割を果たし、後輩指導にも従事していた。
27のコード、10のサブカテゴリーより、「目標と現実との葛藤を感じさせる関わり」、「萎縮してしまう指導・指摘」、「努力や考えを受け入れてもらえないと感じさせる関わり」の3つの負のカテゴリーと、「病棟の一員であるという意識を高める関わり」、「救急病棟看護師としての成長の手助けとなる関わり」の2つの正のカテゴリーに分類できた。
<考察>
経験を積んできた看護師でも、未経験の診療科患者に携わる際、実践レベルは初心者の段階であると言われている。経験年数だけでできるだろうと判断する声掛けや対応は、能力以上の評価をされていると感じさせ、重圧に繋がる事が考えられる。更に、異動により不慣れであるが故に、自分にだけ強い口調だと感じる指導や、病棟独自のルールの押し付け、結果のみを重視した指導・指摘は、新配属者を萎縮させ、努力や考えを受け入れてもらえないと感じさせる。その関わりは自尊心の低下や自信喪失を招き、新配属者のストレスを増長させることに繋がる。病棟看護師は、自己の指導について振り返ると共に、相手を理解し受容しようと努力する事が大切であると考える。
また、多くの診療科に携わる救急病棟で、病棟看護師の知識・経験に基づいた指導や、新配属者の新たな人間関係構築の仲介役となる関わりは、より良い看護に繋げる為の学びとして受け入れられ、成長の一助となる。病棟看護師が自分の考えや行動に対し理解しようとしてくれる姿勢や、「ありがとう」などのたった一言であっても、感謝や承認を表す声掛けは、病棟の一員であるという意識を高め、自己効力感の向上と、ストレスの軽減に繋がると考える。
今後、救急病棟という、これまでと大きく異なった環境で働く新配属者に寄り添えるよう、病棟看護師の意識改善を行っていく必要がある。