第22回日本救急看護学会学術集会

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[O15] 一般演題15

[O15-02] 緊急手術により人工肛門造設となった患者の退院支援における看護師の役割の明確化

○青柳 麻美1、工藤 利香1、辻 守栄1、和住 淑子2 (1. 千葉県救急医療センター、2. 千葉大学大学院看護研究学科 附属看護実践研究指導センター)

キーワード:救急、退院支援

Ⅰ.研究目的

 救急医療センターにおいても、退院支援に向けた看護師の早期介入は重要である。A病院の外科病棟では、平成27年度以降、緊急的人工肛門造設患者が増加し、感染症による全身状態の悪化やストーマ合併症等からストーマ指導が中断され、ストーマ指導が滞ったことにより、退院が延期となった事例を複数経験した。先行研究においても、緊急的な人工肛門造設患者は全身状態が安定してからセルフケア指導が開始されるため指導時期が遅れ、セルフケア習得に時間を要する(小池ら,2016)ことが報告されている。そこで、緊急手術により人工肛門造設となった患者に行われた看護を振り返り、退院支援における看護師の役割を明らかにすることにした。

Ⅱ.研究方法

 対象患者:緊急的人工肛門造設術を施行、医師が退院を決定した時点でストーマ指導が滞り退院が延期、術後1年以上が経過、の3条件を満たす患者2名。

研究方法:1.退院支援の3つのプロセス(宇都宮,2011)から退院支援情報収集フォーマットを作成し、診療録から情報を収集。2.退院支援の3つのプロセスとストーマ患者に対するクリティカルパスの効用(金川,2001)の文献から看護実践の分析の指標を作成。3.1,2のフォーマットを使用し、実際に行った看護を指標に沿って分析し、看護師の役割を考察した。

Ⅲ.倫理的配慮

 本研究は、A病院の倫理審査委員会の承認後、患者家族へ説明し同意を得て実施した。

Ⅳ.結果

 B氏の分析:70歳代男性。肛門周囲膿瘍の治療のためストーマ造設術を施行。患者は入院早期より退院を願う発言をしていたが、肛門周囲膿瘍の感染を繰り返し、治療が難渋。創が臀部のため座位保持ができず、退院が決定するまで面板貼付の自立ができなかった。ストーマは、皮膚障害等のトラブルがあったが、トラブル対処指導の看護介入は行われていなかった。感染の再燃を繰り返したため、看護師主体でストーマ管理が行われ、退院許可が出てからストーマ指導を開始し、2回の指導で交換が実施でき退院となった。

 C氏の分析:70歳代女性。下部消化管穿孔のため人工肛門造設。早期指導介入を行いストーマ管理は、病日28日目に自立。しかし、便漏れの経験から面板貼付に不安があり患者から家族への指導介入の希望が表出されたが、家族への指導介入に難渋した。すると、自ら訪問看護の情報を得て希望したため、訪問看護を導入し退院調整を図った。患者自身への便漏れへの対処能力を高める看護介入は実施していなかった。

Ⅴ.考察

 入院期間が短くなっている現在、生活の場に帰すことを早期から意識した上で適切な医療を行うことが大切である(宇都宮,2011)。2事例の分析より、全身状態の不安定さや創治癒の遅延、患者自身の退院に向けての不安が、早期退院に向けた看護介入の遅れに繋がっていることがわかった。B氏は、入院早期から退院への願いを表出していたが、看護師はこのようなB氏自身の退院に向かう力を活かすことができていなかった。また、C氏は便漏れの不安から、退院後にサポートしてくれる存在を求めていたが、看護師はC氏自身の便漏れへの対処能力を高めるような看護介入ができていなかった。このことから、全身状態や、患者自身の退院に向けての不安だけに着目するのではなく、入院当初から患者自身のもつ力を見極め、それを活用する方向で退院調整することが、看護師の役割であることが示唆された。