第23回日本救急看護学会学術集会

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第23回日本救急看護学会学術集会 [一般演題] » 1.救急外来看護②

[OD102] 1.救急外来看護②

[OD102-04] 小児搬送における薬剤の携帯 –薬剤バッグの作成–

○藤田 友紀1 (1. 国立成育医療研究センター)

キーワード:小児の搬送、搬送薬剤

【はじめに】国立成育医療研究センター(以下当センター)では小児重症患者の施設間搬送を24時間対応しており、依頼元となる医療機関から要請を受けて搬送チームが重症小児患者を迎え搬送している。搬送時に薬剤の携行は必須であるが、小児の場合は体重に合わせて薬剤量を調整しなければならない。当センターでは搬送時に使用する可能性のある薬剤は、搬送出発前に患者の体重に合わせて調整し、いつでも使用できるように1回使用量毎に準備している。しかし、これらの準備した薬剤を搬送中でもすぐに使用しやすく、携帯できる物がなかった。今回、準備した薬剤を搬送中でも使用しやすいよう携帯できる薬剤バッグを作成したので報告する。【目的】小児患者の迎え搬送時に、準備した薬剤を使用しやすいように携帯できる薬剤バッグを作成する。【方法】薬剤バッグ作成前の搬送時の薬剤携帯の課題をあげ、これらの課題を解決できる薬剤バッグを作成した。1.課題 準備した薬剤類はトレイにまとめて搬送バッグの中に入れていたが、これでは①搬送中にバッグの中からトレイを取り出さなくてはならない②トレイでは揺れる車内では安定せず使用しづらい③使用したい薬剤をトレイの中から探さなくてはならない。④小児特有の問題で、体重で薬剤量を調整しなくてはならないため、1回使用量のシリンジの大きさが違いトレイからシリンジの一部がはみ出したり、搬送中にトレイ内でシリンジが動いて調整した薬剤量にならなくなる危険性があり、携行に注意しなければならない。以上4点があげられた。2.薬剤バッグの作成 作成した薬剤バッグは、軽量に携帯できるようにし、バッグを開けると両開きになり、準備した薬剤類が全てわかるようにした。揺れる車内でもすぐに使用できるよう、バッグを両開きにしたままストレッチャーの横にかけられるようにし、調整したシリンジ類は個別に収納できるようにした。幅広い年齢層に対応できるよう1ml~50mlの6種類のシリンジがフレキシブルに対応できるようにした。また、汚れても清拭、洗浄できるよう、素材はプラスチック製のものをできる限り選択した。【結果と考察】作成した薬剤バッグを携行して搬送した件数は(コロナ対応を除く)、2019年1月~2020年12月まで125件で、年齢は月齢1か月未満から19歳、疾患は呼吸不全、痙攣重積、心停止後症候群等様々であった。作成した薬剤バッグは、小児の幅広い年齢層に対応が可能になった。また、搬送中は、準備された薬剤が使用しやすいよう展開できるようにしなければならないが、これも可能になった。搬送についた19人のスタッフへ、「薬剤の取り出しやすさ」「バッグの展開のしやすさ」「携帯のしやすさ」「使用感」を口頭質問し、薬剤が整理されて展開・携帯しやすく、以前の携帯方法と比べ使用しやすいという意見を得られた。薬剤バッグ作成前の搬送時の薬剤携帯の課題は、薬剤バッグ作成により解決できたと考える。今回、調整した薬剤シリンジをフレキシブルに対応・収納できるようにした。そのため、スタッフによってバッグ内の薬剤配置が違っていた。搬送時のリスクマネジメントを考える上で、準備する薬剤配置の統一が今後の課題である。【倫理的配慮】個人が特定される情報が含まれないよう配慮した。利益相反なし。