[OD1102-02] PCPS挿入のためのカート整備とその取り組み
キーワード:PCPS
目的
当院は循環器専門病院であり救急病棟がなくHCU直通で救急搬送を受け入れている。今回、当院HCUで経皮的心肺補助装置(以後Percutaneous Cardio Pulmonary Support:PCPSとする)挿入が行われる際、挿入まで時間を要してしまうことや、症例が少ないためPCPS挿入介助や管理について知識が乏しいという問題があった。また、救命処置に並行してPCPS挿入介助を行うためマンパワー不足の問題や多重課題による精神的負担が大きいという問題があった。そこで、迅速かつ安全にPCPS挿入の準備と介助が行えるように、必要な物品を一つにまとめたカートを作成し、使用後問題点を明確にしたので報告する。
方法
期間:2020年4月~2021年4月の1年間の当院のPCPS使用件数
PCPS挿入セットを外科・内科それぞれを医師と協働し作成。その使用状況を調査、評価を実際に対応したスタッフから聞き取り調査を実施し問題の明確化した。
倫理的配慮:当院、倫理委員会の承認を得た。利益相反はない。
結果
PCPS挿入時のスタッフの能力の差異や器械出しの効率化を目指し、医師と協働し必要物品を外科的、内科的に分けてPCPS挿入セット作成した。カットダウン法にまず先立って必要な物品を三つのセットに分けて滅菌パックを作成、シース挿入法ではシース挿入セットを出すのみとした。使用時に順番にトレーを開くだけで挿入準備がされるため手順や人員を削減する事ができた。また、シミュレーション研修では経験年数に関係なく必要物品を5分以内に用意ができた。準備段階での所要時間が大幅に短縮された。
カート使用開始後、当院のPCPS使用例は7件。PCPS挿入となった経緯は救急搬送2件、院内5件の内、HCU発症2件、HCU外発症3件であった。そのうちPCPS挿入カート使用例は4件あり、カットダウン法は3件、HCUでのシース挿入後心臓カテーテル室でPCPS開始が1件であった。HCU内でPCPS開始となる場合はほぼカットダウン法であった。残り3件は心臓カテーテル中の急変によるPCPS挿入例であった。
PCPS挿入決定からPCPS駆動開始までの所要時間は、日勤帯では3件の平均29分、夜間帯1件の25分でありその差はほとんどなかった。PCPS挿入カートを使用することによりマンパワー不足にも対応できる事が分かった。
聞き取り調査から勉強会でPCPS挿入時に準備する内容の意識づけや、物品があらかじめセット化されており準備に時間を要さなくなったとの意見が聞かれた。また、カットダウン例ではマンパワー不足解消に看護師を配置しないために必要物品をセット化したトレーを作成したが、医師が器械出しを希望するため、手術室を兼務している看護師に交代している現状もみえてきた。
考察
PCPS挿入カートは必要物品がまとめられており有効に活用できる。
症例が少なく未経験のスタッフがいる背景には、当院ではHCU看護師は兼務者が多くほぼ同じスタッフがPCPS挿入場面に遭遇する状況にある。
HCUでPCPS挿入になる場合はカットダウン法による挿入のため手術室スタッフに依存している。これは兼務の強みではあるが一方ではHCU看護師の経験不足の要因ともなっている。HCU看護師でPCPS挿入に2回以上経験した看護師は22名中6名だがPCPS挿入介助に不安があるとの声もあり、数回の経験では身につかない現状があることがわかった。必要物品に関しては通常点検を繰り返す事で意識付けを実施、ACLSを含めシミュレーション勉強会を繰り返し臨床知となるように働きかけ、不安の軽減を目指す。
当院は循環器専門病院であり救急病棟がなくHCU直通で救急搬送を受け入れている。今回、当院HCUで経皮的心肺補助装置(以後Percutaneous Cardio Pulmonary Support:PCPSとする)挿入が行われる際、挿入まで時間を要してしまうことや、症例が少ないためPCPS挿入介助や管理について知識が乏しいという問題があった。また、救命処置に並行してPCPS挿入介助を行うためマンパワー不足の問題や多重課題による精神的負担が大きいという問題があった。そこで、迅速かつ安全にPCPS挿入の準備と介助が行えるように、必要な物品を一つにまとめたカートを作成し、使用後問題点を明確にしたので報告する。
方法
期間:2020年4月~2021年4月の1年間の当院のPCPS使用件数
PCPS挿入セットを外科・内科それぞれを医師と協働し作成。その使用状況を調査、評価を実際に対応したスタッフから聞き取り調査を実施し問題の明確化した。
倫理的配慮:当院、倫理委員会の承認を得た。利益相反はない。
結果
PCPS挿入時のスタッフの能力の差異や器械出しの効率化を目指し、医師と協働し必要物品を外科的、内科的に分けてPCPS挿入セット作成した。カットダウン法にまず先立って必要な物品を三つのセットに分けて滅菌パックを作成、シース挿入法ではシース挿入セットを出すのみとした。使用時に順番にトレーを開くだけで挿入準備がされるため手順や人員を削減する事ができた。また、シミュレーション研修では経験年数に関係なく必要物品を5分以内に用意ができた。準備段階での所要時間が大幅に短縮された。
カート使用開始後、当院のPCPS使用例は7件。PCPS挿入となった経緯は救急搬送2件、院内5件の内、HCU発症2件、HCU外発症3件であった。そのうちPCPS挿入カート使用例は4件あり、カットダウン法は3件、HCUでのシース挿入後心臓カテーテル室でPCPS開始が1件であった。HCU内でPCPS開始となる場合はほぼカットダウン法であった。残り3件は心臓カテーテル中の急変によるPCPS挿入例であった。
PCPS挿入決定からPCPS駆動開始までの所要時間は、日勤帯では3件の平均29分、夜間帯1件の25分でありその差はほとんどなかった。PCPS挿入カートを使用することによりマンパワー不足にも対応できる事が分かった。
聞き取り調査から勉強会でPCPS挿入時に準備する内容の意識づけや、物品があらかじめセット化されており準備に時間を要さなくなったとの意見が聞かれた。また、カットダウン例ではマンパワー不足解消に看護師を配置しないために必要物品をセット化したトレーを作成したが、医師が器械出しを希望するため、手術室を兼務している看護師に交代している現状もみえてきた。
考察
PCPS挿入カートは必要物品がまとめられており有効に活用できる。
症例が少なく未経験のスタッフがいる背景には、当院ではHCU看護師は兼務者が多くほぼ同じスタッフがPCPS挿入場面に遭遇する状況にある。
HCUでPCPS挿入になる場合はカットダウン法による挿入のため手術室スタッフに依存している。これは兼務の強みではあるが一方ではHCU看護師の経験不足の要因ともなっている。HCU看護師でPCPS挿入に2回以上経験した看護師は22名中6名だがPCPS挿入介助に不安があるとの声もあり、数回の経験では身につかない現状があることがわかった。必要物品に関しては通常点検を繰り返す事で意識付けを実施、ACLSを含めシミュレーション勉強会を繰り返し臨床知となるように働きかけ、不安の軽減を目指す。