第23回日本救急看護学会学術集会

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第23回日本救急看護学会学術集会 [指定演題] » シンポジウム

[SY3] [シンポジウム3] “with-corona” ”post-coronaを見据えた看護教育の展望 -急性期領域の看護基礎教育および急性期病院の新人看護師教育に関する課題と工夫-

2021年10月22日(金) 14:10 〜 15:40 ライブ1

座長:城丸 瑞恵(札幌医科大学保健医療学部看護学科)、神田 直樹(北海道医療大学)

15:20 〜 15:40

[SY3-04] コロナ禍での急性期病院における新人教育の実際
〜POSTコロナに向けた検討〜

○葛西 陽子1 (1. 手稲渓仁会病院)

キーワード:新人看護師、リアルな体験の減少、職業選択への迷い、育成に必要な要素

毎年何人かの新人看護師から「私は看護師に向いていないのではないだろうか」という声を聞く。少しずつ自立に向かっていく過程において、役割や責任を痛感し課題に直面する中で自身の職業選択に迷いが生じる瞬間である。それでも、周囲のサポートを得ながら課題を克服し、看護師として一皮むけて成長していく。しかし、今年はこの「職業選択に対する迷い」の声が入職早々から聞かれていた。この原因の一つには、実習の制限による「リアルな体験の減少」が影響していると考えられる。
 看護学生にとって、臨地実習はリアルな医療現場を体験する場所である。実習の機会があることは看護学生にとっては当たり前であり、実習が無い基礎教育など誰しも想像できなかっただろう。受け入れる臨床側も、新人看護師が様々な実習を経験し入職してくることは当たり前、まさか実習を体験できない看護学生が入職してくるとは予想もしてこなかった。しかし新型コロナウィルス感染拡大で、この当たり前が覆されてしまった。この様な状況の中で、どの施設も新人教育に関して模索しながら取り組んでいるのではないだろうか。
 当院では例年90名余りの新人を受け入れ1年8ヶ月の教育プログラムの中で育成を行っている。コロナ禍での新人教育においては、これまで以上にリアリティショックへの対策が重要視されていた。そこで改めて、これまでの新人教育の課題をふまえ、新たな教育プログラムを企画し実践している。その中心となるのは「教える」のではなく「育つ環境を整える」ことである。これらの取り組みは、新人看護師を育成する上で重要なことは何かを考える機会となった。また、新人教育を進めるうえで、コロナ禍だからこそ必要な支援を見えてきた。
 今回、シンポジウムを通してコロナ禍で得られた様々な経験について、基礎教育の現場の方々と意見を交えながら、これからの新人教育について考えていきたい。