第6回日本在宅医療連合学会大会

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シンポジウム

11-1:保険制度・診療報酬

シンポジウム38:令和6年度診療報酬と介護報酬同時改定から、どのような未来を描く ~多職種が考える、これからの未来と今~

Sun. Jul 21, 2024 12:40 PM - 2:10 PM 第3会場 (会議室201)

座長:次橋 幸男(天理よろづ相談所病院 白川分院 在宅世話どりセンター)、太田 博見(太田歯科医院)

1:00 PM - 1:30 PM

[S38-2] 診療報酬改定から管理栄養士が考える、これからの未来のために取り組むべきことは

*熊谷 琴美1 (1. 愛知学院大学健康科学部健康栄養学科)

管理栄養士 熊谷 琴美(くまがい ことみ)2022年 愛知学院大学心身科学部健康栄養学科講師2023年 愛知学院大学健康科学部健康栄養学科講師大阪市立大学大学院生活科学研究科食・健康科学コース栄養医科学講座前期博士課程修了 名古屋学芸大学大学院栄養科学研究科後期博士課程修了 公立学校共済組合東海中央病院に11年勤務後、在宅訪問管理栄養士、在宅栄養専門管理栄養士の資格を取得。フリーランスとして複数の診療所の連携を行い、訪問栄養食事指導を実施。現在は大学教員であるが、数件の訪問栄養食事指導を実施。在宅医療に14年携わっている。
令和6年度診療報酬改定における管理栄養士の診療報酬の特徴は、質の高い在宅医療の確保に、訪問栄養食事指導が重要であると評価を受けた形となった。在宅療養支援診療所及び在宅療養支援病院については、医師が栄養管理の必要性を認めた患者に対して、訪問栄養食事指導を行うことが可能な体制を整備すること、訪問栄養食事指導の推進を図ることを必要とした。さらに、管理栄養士による居宅療養管理指導の算定回数は月2回が上限であったが、終末期等における、きめ細かな栄養管理等のニーズに応じる観点から、一時的に頻回な介入が必要と医師が判断した利用者について期間を設定したうえで、追加訪問することを可能とする見直しが行われた。利用者、家族の必要に応じて一定の上限で食支援ができる体制が可能となった。一方、地域で管理栄養士を雇用する件数は病院や介護施設に比べ僅かである。そのため、訪問栄養食事指導を依頼しても訪問できる管理栄養士が見つからない問題が生じる。地域の調剤薬局に所属する管理栄養士は診療報酬の算定ができない、各都道府県栄養士会の栄養ケアステーションの管理栄養士の雇用は地域差があり、依頼に対応できる人材確保は難しいと推測される。食事は生活に欠かせないものである。摂食嚥下障害者の食事の対応、慢性腎臓病など栄養素摂取の制限が厳しい食事の管理、さらには食欲不振の者が少量でエネルギー、たんぱく質が摂れる工夫等、エビデンスに基づく栄養食事指導や専門の高い調理技術が必要とされているにも関わらず、指導内容の質の評価はできていない。食事を安全に食べることが痰吸引の回数軽減等、多職種の業務の軽減や介護者の介護負担軽減への貢献度に数値で反映されていない。今後、栄養管理の効果について検証を行い、病院NSTのような多職種が患家で話し合える環境を整え、栄養食事指導の質の評価をデータで示すことが重要と考える。