一般社団法人日本鉱物科学会2019年年会・総会

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R1: 鉱物記載・分析評価

2019年9月22日(日) 09:30 〜 15:00 A-プレゼンスペース (イースト1号館)

09:30 〜 15:00

[R1P-18] 京都大学の鉱物標本 -比企鉱物標本-

*白勢 洋平1、下林 典正2、高谷 真樹2、石橋 隆3、豊 遙秋4 (1. 京大・博物館、2. 京大・院理、3. 益富地学会館、4. 東大・博物館)

キーワード:比企鉱物標本、比企忠、京都大学、採鉱冶金学科

京都大学総合博物館には,2万点以上の鉱物・鉱石標本が所蔵されている。中でも工学部由来の「比企標本」は,「和田標本」,「若林標本」,「高標本」といった20世紀初頭の日本の「三大鉱物標本」に勝るとも劣らないコレクションであり,蒐集当時は日本を代表する鉱物標本であった。「比企標本」は,採鉱冶金学科教授であった比企忠(ひき ただす,1866-1927)が中心となって蒐集した1万点を超える鉱物・鉱石標本からなる。比企標本には,輝安鉱や水晶の日本式双晶といった日本を代表する鉱物標本や,岡野隕石等の貴重な隕石標本も含まれている。また,蒐集当時は日本の金属鉱山の隆盛期でもあり,2000点にも及ぶ品位の高い鉱石標本が,鉱物標本とは別に鉱山ごとに納められている。多くの標本に比企の直筆のラベルが付されており,産地情報,蒐集者,採集年月日等が正確にわかるため,学術標本として大変重要な価値を持つ。ほとんどの金属鉱山が閉山した現在の日本では,資源工学的研究や鉱物学的研究を行う上でこれらの資料は欠かせない存在である